9月12日(木)、フランス国内での売上をアイルランド本社へ付け替えたことを巡り、フランス国税庁と長期にわたり係争中だったGoogleフランス(SARL Google France)は、追徴税5億ユーロ(約599億円)および罰金4億6500万ユーロ(約557億円)の支払いに応じ、和解しました。
法人税33%のフランスから12%のアイルランドへ
Googleフランスは、欧州内で最も法人税の安い国の一つ、アイルランド(12%、フランスは33.3%)にある欧州本社Google Ireland Limitedに2005年から2018年の間の売上の大半および利益を付け替えたとして、フランス国税庁から追徴金の未払いおよび脱税の罪で訴えられていました。
フランス国税庁側は、Googleフランスは「Googleアイルランド本社に従属」しており、さらに「その社員はGoogleアイルランド本社の名前でフランスの顧客と契約」を行っており、さらにフランスに常設的に拠点つまり現地法人があることから、アイルランドとフランスの間で結ばれている税務協定(フランス国内の利益に課税)が適用されると主張していました。
検察側は「フランス法人の従業員は、フランス法人に限定された業務のみならず、アイルランド法人のための業務を行っている」と推定していました。
今年4月、パリ大審裁判所は「フランス法人のアイルランド本社への従属性は明白」との判断から、本社と子会社の「契約的関係」を主張したGoogleの上告を棄却しました。つまり、フランスで上げた売上がアイルランドで計上されることで、フランスでの利益が不当に低くなり、よって支払うべき法人税が支払われていないという国税側の主張を支持しています。
フランス国税 長期係争より税収優先
数年前まで、フランスの脱税訴訟は決着が付かず長引くことが多く、最終的に決着が付いた頃には追徴や罰金などが徴収できずに終わる係争が多々ありました。
現フランス国税庁のトップ、ジェローム・フルネル(Jérôme Fournel)氏は、今までの「対立と訴訟」方針を転換し、「交渉と和解」によるいち早い追徴税の徴収を優先する作戦に出ました。
今回のGoogleフランスとの和解は、フルネル氏の新方針による最初の成功例といえます。
フランス国税庁はGoogleに対し11億5000万ユーロ(約1378億円)を請求していましたが、ほぼ満額に近い9億6500万ユーロ(約1156億円)を徴収することになります。
まさに、フランスの諺《Un tiens vaut mieux que deux tu l’auras.》(明日二つもらえると言う約束より、今日の一つ)、「明日の百より今日の五十」ですね。
1ユーロ=約120円
執筆:マダム・カトウ