5月1日はメーデーです。フランスでは労働者の日であるこの日に、そのシンボルとされるすずらんが売られ、各地でデモ行進が行われます。今年の社会情勢から、明日のデモは大規模なものになると予測されています。
伝統のすずらんの出荷量、6千万本
フランスではメーデーと言えばずずらん、毎年街中で売られているのを見かけますが、今年の出荷量は6千万本です。
フランスの人口が約6千7百万人ですから、ほぼ国民一人に1本の割合ですずらんが売られていることになります。また5月1日に限って、個人でも道端ですずらんを売ることが認められています。
1591年にシャルル9世が「幸福を呼ぶ花」として周りに配ったなど、春の到来を象徴するこの花には様々な言い伝えがあります。
メーデーとすずらんの関係にも色々な説がありますが、その一つにファッションデザイナー、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が、毎年5月1日にお針子さんと得意客に配ったことが発端になり、この日にすずらんを配るのがパリで流行った、というのもあります。いずれにしても、20世紀初頭にメーデーにすずらんを買うことが風習として定着したようです。
今年のデモ行進の予測は「荒れ模様」
5月1日のデモ行進もまたフランスの伝統ですが、今年のデモはかなり「大規模」かつ「激しい」ものになると予測されています。
フランス国鉄の改革反対のストライキをはじめ、エールフランスの賃上げ要求スト、大学入学の選抜制導入に反対するフランス学生闘争、公立病院関係者をはじめとした公務員のスト、税制改革で年金受け取り額が減った年金受給者など、今年に入り、マクロン政権の改革に各方面での不満がでています。
そして、これらの問題のほとんどは解決のメドがたっていません。
この現状を受け、CGT(Confédération Générale du Travail)をはじめとする労働組合および左派政党は、デモ行進への大規模な動員を呼びかけています。
マクロン大統領、就任から1年の正念場
マクロン大統領は、2017年5月7日、極右政党フロンナショナル(FN:Front National)のマリーヌ・ル・ペン(Marine Le Pen)党首を大多数で破り当選してからまもなく一年を迎えます。
そしてこの一年の間、マクロン政権は公約に掲げた改革を次々に行ってきました。
改革には賛否両論がつきものですが、富裕税減税では「金持ちの味方」のレッテルを貼られています。また、給与所得者の社会保障費用を軽減するも、財源確保のため年金受給者への増税が可決、さらに大学入学に選抜制を許可するなど、「弱者の敵でエリート優遇」との声も上がっています。
左派野党は、当初からマクロン政権の打ちだす政策を「リベラルすぎる」と強く反発し、EU圏内の鉄道の自由化に向けたフランス国鉄の改革など、マクロン大統領の「EU寄りすぎる」政策に懸念を示しています。
極左政党、5月5日も追加デモ予定
極左政党、フランス・アンスミーズ(France Insoumise)党は5月5日に、パリ市内のみでの「マクロン大統領の政策に反対するデモ」を、大統領就任1周年に合わせて予定しています。
この呼びかけには、俳優ジャック・ヴェベール(Jacques Weber)をはじめとする50人におよぶフランスの芸術家たちも参加を表明しており、マクロン大統領を「リベラルな独裁者」と呼び、デモへの市民の参加を呼びかけています。
明日は14時半、バスティーユ広場に結集
パリでデモといえばバスティーユ広場(Place de la Bastille)ですが、これは1789年、パリ市民が政治犯を収容していたバスティーユ監獄を襲撃したことで、その跡地が市民革命のシンボルとなったからです。
明日もバスティーユ広場にデモ隊が終結し、左岸のイタリー広場まで行進します。
デモ隊のルートの予定は下記 (予定は当日変わることがあります):
14時半、バスティーユ広場(Place de la Bastille)に集結→ブルヴァール・ドゥ・バスティーユ大通り(Boulvard de Bastille)→オーステルリッツ橋(Pont d’Asuterlitz)→ブルヴァール・ドゥ・ロピタル大通り(Boulvard de l’Hôpital )→イタリー広場(Place d’Italie)に18時半ごろ到着。
ちなみに、デモ隊が通る時間帯はルート周辺のバスが不通、地下鉄の駅は閉鎖されます。また、周辺は大混乱になることが予想されますので、デモ隊には近づかないことをおすすめします。
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執筆:マダム・カトウ