フランス学生闘争、ソルボンヌ大学で集会中の学生200人強制退去

2018.04.13

 Par Thierry Bezecourt — Travail personnel, CC BY-SA 3.0,

4月12日夜10時頃、ソルボンヌ大学で、キャンパスの占拠を行うか否かの投票に集まった学生約200人を、警察の機動隊が学外に強制退去させました。すでにフランス国内の4つの大学が、学生によって完全に占拠されており、学生闘争が過熱し始めています。

 

4つの大学でキャンパスを完全占拠、ソルボンヌ大学も追従を決議したが

今年2月15日に、大学生の学業成功と進学指導法ORE(loi Orientation et Réusitte des Étudiants)=ヴィダル法(loi Vidal)が 可決されると、モンペリエ大学を皮切りに、学生の反対運動が始まりました。

現在も、トゥールーズ・ジャン・ジョレス大学(Université Toulouse Jean Jaurès)、モンペリエ・ポール・ヴァレリー大学(Université-Paul-Valéry-Montpellier)、レンヌ第2大学(Université Rennes-II)、パリ第8大学(Université Paris-VIII)では、一部の学生が大学を完全に占拠しています。

この流れに乗って、パリのソルボンヌ大学(Sorbonne Université)の学生らも昨夜集会を行い、大学占拠の決議投票が行われましたが、学長が警察に通報し、中にいた学生ら約200人が機動隊によって学外に退去させられました。

 

学生の「選抜」に反対

フランスではバカロレア(Baccaloréat)=通称バック(Bac)という 、中等教育レベル認証の国家資格があります。高校卒業前にこのバックを取得することで、通常の大学に進学する資格を得ます。

ヴィダル法によると、学部の志望者数が大学の物理的許容人数を越える場合、大学側がバカロレアを持つ学生をさらに選抜することができます。そして、学部の許容人数は各大学の学長と学部関係者で決めることができます。

この許容人数や選抜の基準が明らかではなく、選抜を許可することは「大学のエリート化につながる」「不平等」「ただでさえ将来が不安なのに成功する機会を奪う」と、多くの学生が反対しています。

 

人気学部は「くじ引き」もあり?だった

心理学部、医学部、法学部などの学部は人気が高く、キャンセル待ちが多数出る状況がつづいています。
この状況を打破するため、2017年4月、入学志願者があまりにも多い場合の最終手段として「くじ引き」も許可されました。ただ、一方で人気のない学部は13万もの席が埋まっておらず、需要と供給のバランスが取れていないのが現状です。しかしこのくじ引きはヴィダル法で廃止されました。

 

現状の仕組みも不公平との批判

そもそも、フランスに大学入学時の選抜がないわけではありません。
エリートを輩出する 高等職業機関 のグランゼコール(Grandes Écoles)、技術大学IUT( Institut Universitaire de Technologie )のほか、高校の付属コースの高等技術部 STS (Section de Technicien Supérieur) などへの入学に際しては、すでに選抜が行われています。
よって、選抜のある学校とない学校に分かれている現状のほうが不公平、とする声も上がっています。

 

2018年のバカロレア取得者、28000人増

2018年のバカロレア資格取得者は前年より28000人も増えています。これに対し、22000人分の席を追加すると政府は発表しています。フランスの新学期の9月に間に合うのか疑問視されています。

そして将来に不安を持つ学生たちの反対運動は広がる一方、解決のメドは立っていないようです。

 

執筆:マダム・カトウ

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