TGVに「ノーキッズ・クラス」?フランス国鉄SNCFに批判、導入は合法か

2026.01.23

2026年1月23日(金)、フランス国鉄(SNCF)は1月8日より、ビジネスクラス「ビジネス・プルミエール」(”Business Première”)を廃止し、新たに12歳未満が利用できない「オプティマム」(”Optimum”)を導入しました。公共サービスである同社の「子供の排除」に、利用者の意見は分かれ、さらにその合法性について議論が巻き起こっています。

 

「静かで快適」が売りのビジネスクラス、子供お断り

広い座席、軽食の提供、この新ビジネスクラスは、12歳以上が対象のため、子供料金の設定がありません。

「オプティマム」は、1月8日スタート当時「大人オンリー」でしたが、「年齢差別」の非難からすぐに12歳以上に切り替えられました。

SNCFの商品企画部長、ガエル・バボー(Gaëlle Babault)氏は、「新クラスは子供を排除するのではありません。12歳未満の子供が利用できないサービスは弊社の提供するサービス全体のわずか8%で、残りの92%は利用できます。しかも週末は100%になります」と弁明しています。

ちなみに、このカテゴリーは同じ高速列車TGVでも、全席2等車のローコスト版「INOUI」には設定がありません。

 

公共サービスに「年齢差別」は恥か?泣き叫ぶ子どもと3時間

国営企業として、利用者を年齢によって一部の公共サービスから「排除」することに、大きな反発の声があがるなか、利用側の反応は二つに分かれています。

パリからグルノーブルまでの3時間、幼児の泣き声でまったく読書に集中できなかったという若い女性もいれば、「ビジネスでの移動に必要なのは、よくつながるWi-Fiだ」と主張する人もいます。

70歳の女性は、社内で「隣の席の赤ちゃんがうるさい」と文句を言う乗客に対し、「あなたは赤ちゃんの時泣かなかったの?」と言って黙らせたとコメントしています。

また、「少子化が進んでいるからこそ、ファミリー向けに専用車両を設けて、運賃を割引すべきだ」という意見もでています。

子供はダメでも犬はオッケーで炎上

SNS上での非難は後を絶たず、さらにこの新クラス、実は追加料金を払えば犬や猫といった小型の動物づれで乗車することができるという投稿が広まり、物議を醸しています。

 

年齢による運賃の「差別化」、実は合法

公共交通法に詳しい弁護士グザヴィエ・グリュヴェーズ(Xavier Gruwez)氏は、SNCFは公共交通事業者であり、そのミッションは「人々をA地点からB地点へ運ぶこと」と定義されており、そのサービス内容は6カ月ごとに変更できると述べています。

その前提に立った上で、同氏は、ホテルや航空会社同様、運賃体系やサービス内容を「自社の裁量で設定」することができると指摘します。

グリュヴェーズ氏によれば、今回のオプティマムについても「スペースを限定し、子供を排除した」のではなく、あくまで運賃設定をしたにすぎません。

つまり、シニア料金や青年割引といった料金体系を設けているのと同様に、子供料金を設定しているが、その料金が適用されないサービスが存在するという解釈です。

同氏の説明では、SNCFが12歳未満の子供の乗車を一切受け付けなければ違法になるが、今回のケースはそれに該当しない、と述べています。

 

小さい子供連れの列車移動、親には「最大のストレス」

2024年のイフォップ社による世論調査で、小さい子供を持つ親の45%が、列車移動を「最大級のストレス」と回答しています。

具体的には「子供をコントロールできないダメな親」的な周りの視線や、聞こえてくる「子供がうるさい」という声がストレスの原因となっています。

そのため、移動に際し「列車を利用しない」と回答した人が2人に一人いました。

パリ-マルセイユ間(約5時間半)をよく利用するという赤ちゃん連れの若い女性は「運賃はどんどん上がっているのに、子供が泣くから仕方なくバー車両や廊下で立って過ごさなければならないのはひどいと思う」と子供用の施設やサービスがないことを残念におもっています。

スイス、ドイツは「ファミリースペース」「キッズコーナー」設置で誘導

ドイツでは、「高速列車ICEの2等車の一部に「ファミリースぺース」、さらに乳幼児連れに配慮した「幼児用スペース」なども設けられています。

スイスでは、インターシティー(INTERCITY)の2等車の二階にファミリースペースを設け、そこには子供用の遊び場が作られ、ベビーカーを置くスペース、そして一部のテーブルはボードゲームになるといった工夫が凝らされています。

こういった施策では、子供連れを「排除」するのではなく「優遇」することで、自然と差別化が図れているといえます。

今後、フランスでもファミリー向けのサービスを強化する試みがなされるのかが注目されます。

執筆:マダム・カトウ

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