2023年2月14日(火)、来年開催されるパリ五輪2024(7月26日〜8月11日)の入場券の発売が明日15日より開始されます。2月15日から3月15日までの1ヶ月間に行われる第一回目の発売で約300万枚が販売されます。パリオリンピック委員会は「誰でも参加できる庶民的なオリンピック」をアピールしていますが、果たして実際はどうでしょうか?
第1回目はセット販売のみ、全チケットの30%
明日より販売されるのは、好きな種目を3種目まで入れることができる「Packs」と呼ばれるセット券で、一人あたり3パックまで購入できます。
購入期間は3月15日までの1ヶ月間です。
第一回目の販売で、パリオリンピック委員会(Cojop)はオリンピックの全チケット1000万枚のうち300万枚の販売を見込んでいます。
今回の購入権を得るための事前抽選は昨日13日に終了しています。
第2回目のチケット販売5月11日、抽選は4月22日より
第一回目の販売では、最も人気の高い競技の決勝戦、バスケットボール男子、陸上100メートルなどは含まれておらず、人気競技はチケットが単体で購入できる第2回目の発売に持ち越されます。
第2回目の販売は5月11日に開始され、4月22日〜5月9日までの間に事前抽選会が行われます。
当選すると購入日時が48時間前にメールで案内されます。
購入のタイムリミットは48時間しかないため、当選した場合に購入するものを前もって検討しておきます。(種目は後日発表されます)
第2回目の抽選への登録は3月15日に開始されます。
希望する人は今からこちらでアカウントを作っておくと、メールで登録案内が送られてきます。
オリンピック史上初、チケット購入公式サイト一括管理
パリオリンピック委員会の発表によると、観戦チケットの販売が公式サイトのみの一括管理となったのはパリオリンピック2024が初めてです。
委員会は「誰でも参加できるオリンピック」をモットーに、100万枚のチケットは24ユーロ(約3,360円/1ユーロ=140円)で、さらに全販売枚数の半数近くが50ユーロ(約7,000円)以下で販売されているとアピールしています。
最も安いチケットは競技がよく見えるとは言い難い端の席ばかりですが、それでも雰囲気を味わうには十分かもしれません。
ところが、この価格帯のチケットの半数は一般販売されていません。
50万枚が国と自治体へ、10万枚は生活困窮者へ無料配布
残りの半分は国と競技の開催地になっている自治体が、地元の16歳未満の若者やスポーツクラブのボランティア、障害のある人用に抑えています。
一般の購入者はチケット購入時に2ユーロ(約280円)の寄付をすることができますが、この寄付金はパリオリンピック委員会に協力するフランスの非営利団体「セキュール・ポピュレール」(Secours populaire)が生活困窮者へ無料配布するチケット10万枚分にあてられます。
チケット価格24ユーロから、ロンドン五輪の倍近く
確かに最も安いチケット(24ユーロ)は一般市民にも手の届く価格に設定されています。
ちなみに同じカテゴリーのチケットが、11年前のロンドン五輪では23ユーロ(3,220円)だったことを考えると、ほとんど値上がりしていません。
しかしながら、例えばハンドボールの予選、フェンシングの予選など人気種目の価格を比較すると、ロンドンで57ユーロ(7980円)〜73ユーロ(10,220円)だったものが、パリでは140ユーロ(19,600円)〜150ユーロ(21,000円)と倍になっています。
インフレでコストが4億ユーロも増加
パリオリンピック委員会は一般入場券の販売だけで12億4000万ユーロ(約1,763億円)の収入を見込んでいますが、一方で費用の方が当初の見積もりよりすでに4億ユーロ(約568億円)もオーバーしています。
各競技場の改装などにかかる費用がインフレで大幅に増えたことや、一括管理しているチケットのオンライン販売サイトには世界中からハッキング攻撃がこれまでに数百万件も行われ、セキュリティにも膨大な費用がかかっています。
セーヌ河畔でのオープニングセレモニー、想像以上のコスト
最も費用がかかるのはセーヌ川沿いで行うというオリンピック史上初の市街地でのオープニングセレモニーで、実に費用の約3分1が費やされてます。
一方、入場料の方もオープニングセレモニーだけで1億900万ユーロ(約155億円)の収入を見込んでいます。
フランス会計監査院が1月に出したレポートでも、パリオリンピックは国としても「黒字は確実」とされており、なんとかやりくりして大きな利益を出すことが期待されています。
執筆:マダム・カトウ