2月14日(火)フランスでは、2022年度の第4四半期における失業率が7.2%と発表されました。これは2008年の第1四半期以来、最も低い値です。
失業率7.2%
フランス国立統計経済研究所(Institut national de la statistique et des études économiques:INSEE)は14日に2022年度の第4四半期における失業者数と失業率を発表しました。
失業者数は220万人で、同年第3四半期よりも4万5000人減少しました。失業率は、7.2%で、これも同年第3四半期より0.1%低下しました(マイヨット除く。以下同様)。
失業率は、コロナ禍前の2019年度末と比べると1.0ポイント低下し、2020年第2四半期の一時的な減少を除くと、今回は2008年の第1四半期以来、最も低い値が記録されました。
Avec un taux de chômage à 7,2%, la France connaît son niveau de chômage le plus bas pour la deuxième fois depuis 40 ans.
Nous continuons à poursuivre notre objectif de plein emploi. pic.twitter.com/Tw7yjOfpwI
— Élisabeth BORNE (@Elisabeth_Borne) February 14, 2023
年齢別の傾向
年齢別にみると、若年層の失業率の低下が目立ちます。
15歳から24歳までの若年層の失業率は16.9%で、コロナ禍前と比べて4.9ポイント、また2021年度末から0.4ポイント低下しました。
一方で25歳から49歳までの失業率は6.5%、また、50歳以上の失業率は5%で、前年と比べるとはそれぞれ0.1ポイント減少また0.7ポイント減少しました。
性別の傾向
今回の発表においては、男性の失業率は8.0%で、女性の7.8%とほとんど同じ水準でした。2008年から2009年にかけての経済危機前は、男性の失業率は女性のそれよりも低かったところ、2012年から2016年にかけては男性の失業率が上がっていました。
学歴別の傾向
学歴別にみると、低学歴層の失業率が高い傾向にあります。生産人口のうち、中卒者の失業率は14.4%であるのにたいし、高等教育の資格保持者のそれは5.3%にとどまります。
BEP(職業教育免状、経理や秘書など事務職の資格)やCAP(職業適格証、料理人や工芸職人などの資格)の保持者の失業率は8.2%、またバカロレア(高校卒業資格)保持者では8.7%でした。
カウントされていない人々
年単位でみた、生産人口に占める失業者の割合は1.9%と高いままです。
また、労働市場に戻ることを希望しているが、失業者にはカウントされていない人(Le halo autour du chômage)の割合も減っておらず、190万人を記録しています。
15歳から64歳の就業率は68.3%で、1975年以来の高水準でとどまっています。
1970年代以降の動向
長期的にみると、2021年の失業率平均は7.9%でした(マイヨット除く)。
1973年の第1次石油ショック以前の失業率は4%に満たなかったところ、失業率は継続的に増加し、80年代半ばには8%に達します。
その後の失業率は、経済情勢にともない上下を繰り返し、1993年また2008年から2009年の景気後退、そして2001年の経済停滞の際には失業率も上昇しました。
近年もっとも失業率の上昇が著しかったのは2008年から2009年にかけてで、その後2015年から2020年に再び減少傾向にあります。そして2020年のコロナ感染拡大や、外出禁止令また活動制限によって、求職活動は停滞し、働き先も減少しました。
2016年から減少していた失業率は2021年にピークを迎え、その後は徐々に減少し今回の数値につながっています。
長期的な失業者も多い
失業者の状況はさまざまで、数週間から数ヶ月にわたって失業する人もいれば、数年以上ずっと失業状態にある人もいます。
2021年のデータでは、70%の失業者が1年未満、54%が6ヶ月未満の失業期間を過ごしていることが明らかになりました。反対に30%の人は1年以上失業状態にあり、2年以上失業している人も13%います。
若者の雇用状況
フランスにおける15歳から24歳までの失業率は、ヨーロッパのOECD加盟国のなかでみるとスペイン、イタリア、フィンランド、エストニアに続いて高く(2022年度末時点)、若年層の雇用が社会問題となっています。
最新のOECD加盟国報告書では、職業見習い制度の見直しなどの政策により、以上の問題は改善されつつある一方で、この政策によっても恩恵を受けられない、低資格者への支援が今後の課題と考えられています。
執筆あお
INSEE L’essentiel sur… le chômage
OECD (2023), Unemployment rate (indicator). doi: 10.1787/52570002-en (Accessed on 15 February 2023)
OECD (2022), OECD Employment Outlook 2022: Building Back More Inclusive Labour Markets, OECD Publishing, Paris, https://doi.org/10.1787/1bb305a6-en.