2023年1月17日(火)、年金受給年齢を現行の62歳から64歳に引き上げる、年金改正法案が昨年よりフランス国会で検討されていますが、これに反対するフランス労働総同盟(CGT)など主要組合が19日(木)より24時間の大規模ストを呼びかけています。ストは鉄道、航空、学校、製油所など広範囲におよび、フランス全国200カ所でデモ行進が行われる予定です。
19日、フランス全国で交通の乱れ、「ブラック・サーズデイ」か?
フランス最大の労働組合CGTを始めとする主要組合(Unsa、Sud、CFDTなど)は連帯し、今週木曜に大規模な動員による「非常にインパクトのある」ストライキを予定していると発表しています。
今回のストは「無期限の延長あり」で、毎週木曜日に行われる可能性もあると組合側は強硬姿勢を示しています。
パリおよび郊外で大幅な乱れ 組合側「パリ交通ゼロ」目指す
フランス国鉄SNCFのストの影響については、詳細な情報はスト開始の48時間を切ってからのみ明らかにされますが、本日より間引きやキャンセルなどの情報が公開されます。
パリ地下鉄RATPの全ての組合は19日のストへの参加を呼びかけ、2019年に数週間にわたって行われた「公共交通機関ゼロ」を再現するという目標を掲げていますが、今のところ4年前のような規模にはならないという見方が強いようです。
エールフランス航空などスト、管制塔は「不参加」で影響は「小規模」
交通の乱れは空の旅にも影響し、エールフランス航空を始め複数の航空会社がストを予告しています。
しかしながら、ストに絶大な影響力を持つ管制塔の職員が所属する組合SNCTAは、今回のストに参加しないことを明らかにしています。
不参加の理由については「ストの権利を濫用しないため」と説明しています。
フランス民間航空局DGAC(direction générale de l’Aviation civile)は、管制塔が参加しないことから今回のストの影響について「鉄道など他の交通機関と比較すれば大きくない」とし、シャルル・ド・ゴール(Charles-de-Gaulle)空港に関して、航空会社への減便命令といった対処の必要はないと見ています。
オルリー(Orly)空港も、ストがあったとしても最小限だと航空局は見ていますが、地方の小規模空港に関してはかなりの影響が出る可能性もあります。
19日から週末にかけてのフライト 航空会社によりキャンセルや変更
いずれにしても、今後24時間でフライトキャンセルなどの詳細情報が発信されます。
エールフランスなど、いくつかの民間航空会社でスト参加が表明されているため、パイロット、フライトアテンダント、地上係員などのストによるフライトキャンセルや便の変更などに注意が必要です。
学校は休校の可能性大
学校に関しては、教員や学校職員らが加盟する組合、CGT、 FO、FSU、CFDT、SNALC、Sud、Unsaが連帯して大規模なストを呼びかけており、多くの学校が休校になることが予想されます。
組合側は、「年金改正は全ての労働者の問題であることから、教育に従事する者の問題でもある」と声明を出しています。
組合FSUは本日も「昇給と労働条件の改善」を求めるストを行っています。
昨年10月、昇給を求めたストで数週間にわたりフランス中のガソリン不足を招いた製油所ですが、その組合の一つCFDTは、19日のみならず、26日、2月6日の3日間のストを発表しています。
CFDTのローラン・ベルジェール(Laurent Berger)書記長は、前回のストで強く非難された、製油所へのアクセスをブロックするなどの「ストに参加していない職員の業務を妨害するか」の質問に、「今のところその予定はない」と答えています。
執筆:マダム・カトウ