フランス5月11日から外出禁止の段階的解除 首相が計画を発表

2020.04.29

フランス外出禁止解除計画 首相が発表

4月29日(火)、フィリップ首相(Edouard Philippe)は前日28日の議会において5月11日に予定されている外出禁止解除の条件を発表しました。新型コロナウイルス による死者が23,293人のフランスに先駆け、外出禁止を解除したドイツで感染者が増えていることなどから、感染第2波を警戒して慎重な姿勢を見せました。

 

首相、11日の解除、状況により延期も

フィリップ首相は昨日の議会で「11日からの解除は、感染者数が1日3000人以内で安定し、入院患者数と集中治療室の患者が現在のペースで減少していけばという条件付」のもと、万が一上昇に向かった場合は5月7日に判断し、禁止を継続すると明言しました。

首相は「我々はこれからもウイルスとともに生活していかなくてはならない」ため、「国民一人一人が責任を持って行動するように」と強く要請しました。

マクロン大統領が当初《65歳以上は年末まで外出禁止に》と発言し、高齢者および各方面から批判の声が上がっていた《年齢制限》を設けるという案は盛り込まれず、「高齢者に関しては、自分の身を守るため家に居ることを強く推奨する」という自粛要請に留めました。

 

マスクは《推奨》、1週間70万件のPCR検査を

フランス政府は新型コロナウイルス 感染拡大当初から、マスクの確保やPCR検査数がドイツやイタリアに比べ少ないことで、非難を浴びてきました。

特に、当初「マスクの着用は医療関係者と感染者のみ」で、「一般の人が着用することに意味はない」との発表を繰り返したため、《マスク着用義務》への方向転換が政治的に難しい状況にあります。

そのためかフィリップ首相は今回一般的なマスクの着用は、「推奨」に留めています。

一般用のマスクはすでに薬局で販売再開が許可されていますが、11日以降十分に補給されると発表しています。

また、現在1週間で約16万5000件行われているPCR検査を、11日以降70万件に増やすと述べ、感染者と接触のあった人全てを特別班が追跡し検査する体制が敷かれます。

 

カフェやレストランを除く商店再開

商店の再開には、従業員のマスク着用など必要な安全対策をとったうえ、店内で顧客同士が1メートル以上の距離を空けることが条件ですが、もし不可能な場合は顧客にもマスクを着用してもらうことが推奨されています。

4万平米以上のショッピングセンターは今回再開の対象にならず、6月2日からの再開が5月末に検討されます。

 

企業にはテレワーク継続を、学校は低学年から再開

首相は、通勤による公共交通機関の混雑を避けるため、企業へテレワークの継続および時差通勤を強く要請しました。

企業再開にあたっては業種別安全管理などのガイダンスを設け、企業に通達されます。それに先立ち、明日組合の代表と協議を行います。

また、保育園、幼稚園、小学校は5月11日から再開が可能となりますが、保育園は1部屋に幼児10人まで、学校は1クラス15人までと規制を設け、保育士や教員はマスク着用が義務づけられます。

学校再開には、《生徒同士が距離を置く、手洗いを定期的に行う》などの徹底が必須であるため、実際に再開するかどうかは地方自治体および学校の判断に委ねられます。また、通学は義務ではなく、父兄が希望する場合に限ります。

ちなみに、メディアで発表されているアンケートによると、フランスの親の50%は「子供を通学させない」と答えています。

中学は5月18日から再開が可能ですが、高校に関してはまだ決まっていません。

 

公共交通機関の利用にマスク着用義務

現在、パリの地下鉄は平時の30%の本数しか運行していませんが、時間帯により混雑していることから、5月11日以降70%までに本数を増やします。利用者はマスク着用が義務となります。

フランス国鉄は、通勤路線を優先して本数を増加する予定ですが、遠距離路線に関しては地方から地方への移動を制限する政府の要請により、運行本数を増やさない方針です。

 

外出は自宅から100km以内

外出禁止期間中の外出は自宅から1km以内、1時間以内と制限されており、外出理由と時間を明記した誓約書の所持が義務ですが、外出禁止が解除されると、100km未満であれば誓約書なしで移動することが可能になります。

ただし、100km以上の移動は、家庭の事情や仕事などやむを得ない事情の場合に限られます。政府は感染者の多い地方から《グリーン・ゾーン》と呼ばれる感染者の少ない地方に人が移動することで、新たな感染の波が発生することを危惧しています。

サッカーもお預け、ビーチは6月以降

現在閉鎖されている公園は感染者数の少ない地方のみ解禁されます。ビーチへのアクセスは、少なくとも6月1日まで禁止されます。

サッカー等人気スポーツのリーグ戦は、今季は秋まで再開されません。一般にも団体競技は禁止で、スポーツジムも今回の再会対象外となります。

小規模美術館は再開可能、ルーブル美術館の再開は未定

小規模の美術館、博物館、図書館なども入場制限や衛生対策を施したうえで、再開が可能となります。ただし、ルーブル美術館などの大規模な施設は大勢の人が集まるため、現時点で再開の目途は立っていません。

劇場やコンサートホールの再開も未定で、5,000人以上集まる見本市やコンサートなどは少なくとも9月まで禁止されます。

 

プライベートの集まりも10人以下、結婚式《極力自粛》

公道での集まりおよび、家族で家に集まる場合も人数は10人以下に制限されます。

宗教的なセレモニーは20人以下、結婚式は市町村に対し「延期するよう」強く要請を行い、葬儀も20人以下と制限されます。

執筆:マダム・カトウ

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