7月18日(月)、フランス各地で記録的な猛暑となり、西部を中心とする63箇所において、数十年ぶりに最高気温を記録しました。国鉄SNCFや各地の地下鉄は、線路などの保護のために速度を落として運行し、バカンスシーズンで鉄道を利用する多くの旅客に影響がでました。
過去最高気温を続々更新
フランス気象局 (Météo-France)によると、18日に過去最高気温を記録した地点は63箇所にのぼるといいます。
とくにフランス西部では、これまでの記録より4度近く高い気温が観測されました。
42度超え
例えばブレスト(Brest)では、過去最高気温が1949年7月12日の35.2度でしたが、この度39.3度を観測しました。
音楽祭で有名なナント(Nantes)では42度、リゾート地ビスカロッス (Biscarrosse)では42.6度となり、2019年7月に南仏ヴェラルグ(Vérargues)での最高気温46度にせまる記録でした。
ノルマンディー地方のラ・アーグ(la Hague)では夜3時でも32.8度と気温が下がらず、フランスでは珍しい「熱帯夜」となりました。
🌡️ Ce lundi #18juillet, nombreux #records absolus de #températures max (valeurs provisoires à 17h) :
🔴Biscarosse (40) : 42.6°C
41.7°C le 18/06/2022. Station ouverte en 1965.
🔴Cazaux (33) : 42.4°C
40.6°C le 30/07/2020. Station ouv. en 1921.— Météo-France (@meteofrance) July 18, 2022
パリ14区のモンスリ公園(Parc Montsouris)でも2019年に記録された42.6度にせまる40.5度が観測され、猛暑は局地的なものではなかったことがわかります。
一方19日夜には南西部を中心に大雨となり、猛暑の勢いは少し落ち着いたようです。とはいえ東部やパリ近郊では19日、20日も40度近い「猛暑日」となりました。
国鉄やメトロは速度制限
猛暑の影響は、バカンスシーズン真っ只中のフランス人などにも及びました。
パリの鉄道(RER)、メトロ、バス、トラムなどを運行するパリ交通公団(Régie Autonome des Transports Parisiens, RATP)は、レールの温度が数カ所で57度を超えたとして、安全対策の観点から速度制限を実施しました。
以下の交通機関では、通常の最高時速が100kmのところ60km(メトロは通常60kmのところ30-40km)での運行となりました。
ーRER:A線、B線
ーメトロ:地上に出る区間のある1・2・5・6・8・13号線
ートラム:T1・T2号線
RATPの交通網に含まれる公共施設では、水を配るなどのキャンペーンも行われました。
ジロンドの山火事
同じく西部のジロンド県(Gironde)では大規模な山火事が発生し、19日の時点で2万300ヘクタールが焼けたと報道されています。
特にラ・テスト=ド=ビュック (La Teste-de-Buch)、ランディラ(Landiras)では被害が激しく、20日朝の時点で3万7000名近くが避難を強いられていました。
マクロン大統領は民間ヘリでの消火作業を要請したと同時に、自身も20日午後にラ・テスト=ド=ビュックへ到着し、消防隊やボランティアへの感謝の意を表しました。
EN DIRECT – “Oui, il faut plus de canadair […] Il faut en acheter plus mais le faire au niveau européen”
➡️ Emmanuel Macron s’exprime à l’issue de son déplacement à La Teste-de-Bûch, sur le terrain des incendies pic.twitter.com/tNPG2knDu7
— BFMTV (@BFMTV) July 20, 2022
記者からのインタビューでは、今後の山火事対策として、現在すでに11台を所有している空中消化器のカナディア(Canadair)を新たに購入する方向だと回答しました。
気候変動対策については、マクロン氏の第一次政権ですでに前年の倍のスピードで二酸化炭素の排出を削減したと、強調しています。
執筆あお