7月19日(火)、本日終了する今年の夏のソルドは「満足のいく結果」だったとパリ、イル=ド=フランス商工会議所(chambre de commerce et d’industrie (CCI) Paris Ile-de-France)が発表しました。2年に渡るコロナ禍で大きな打撃を受けたパリの商店の多くが、昨年より売り上げを伸ばしています。またフランス入国時の規制撤廃で観光客が大幅に増え、マスクの着用義務なども撤廃され、パリの小売業では正常化に向けて今年の夏以降も期待が膨らんでいます。
パリのソルド、「久々に」売り上げ前年比10%増
パリ商工会議所がパリ20区内にある300の商店にアンケート調査を行ったところ、78%の商店で売り上げが「10%以上伸びた」と回答しました。
今年のバーゲンセール「ソルド」は6月22日〜7月19日の1ヶ月間でしたが、セール開始直後は集客に勢いがなく、約55%の商店がソルドの出だしについて「不満」と答えていました。
開始から2週間余りの7月4日〜8日に再度調査したところ、約8割の商店で売り上げが前年比で10%以上増え、回答した商店の50%が今年のソルドに「満足している」と答えました。
パリのソルドはネット通販に押され、ここ数年ずっと低迷を続けていました。
そこにきてコロナ禍となり、ロックダウンにより商店は再三閉店を余儀なくされ、それまでオンラインで購入する習慣のなかった層もネット通販の利用を始めるなど、実店舗での販売は大きな打撃を受けていました。
今年の1月に行われた冬のソルドも期待外れで終わっています。
好調の陰に、外国人観光客アリだが
ソルド期間中、アンケートに回答した77%の商店に外国人観光客が来店しています。
パリ商工会議所の所長、ドミニーク・レスティノ(Dominique Restino)氏が「観光客がパリに戻ってきたことが大きい、特にヨーロッパ人とアメリカ人」とコメントしたように、外国人観光客が売り上げを牽引しています。
モンパルナスとサン=ジェルマン大通りを結ぶ、レンヌ通りにあるメンズウエアのショップの店主も、「ソルド中に外国人観光客の来店が目立って増えました。彼らは購買力が高く、予算があるからフランス人客と違って値段を気にしないで買い物をして行きますね」と、観光客の戻りを歓迎しています。
とはいえ、外国人観光客の中でも特にパリで買い物にお金を使っていたロシア人とアジア人が、それぞれウクライナ侵攻とコロナ禍でほぼ不在となっており、2019年までの状態に戻るには時間がかかりそうです。
在庫不足、納品遅れ、値上がり
売り上げも増え、ソルドはまずまず好調だったといえますが、36%の商店で「オーダーした在庫が届かなかった」、65%が「納品遅れがあった」と回答するなど、仕入れに問題が発生していることがわかります。
さらに79%の商店では、「仕入れ値が値上がりした」と回答しており、ウクライナ侵攻による原油、レアメタルなどの原料高、中国などアジアから輸入される製品の納品遅れの影響が出ています。
MADE IN FRANCEが鍵
パリ商工会議所のレスティノ所長はこれについて、現在エコロジーへの関心から「地元で作ったものを優先して購入したい」という意識が高まっており「製造業をフランスで復活させる必要があります」と語っています。
パリの小売業、今後は楽観できる?
今年の夏のソルドは確かに昨年より売り上げ増になっていますが、アンケートに答えた61%の商店が、「2019年コロナ禍前の売り上げにはおよばなかった」としています。
それでもレスティノ所長は、観光客のおかげでパリの街はコロナ禍以前の活気を取り戻し始めており、今後の見通しは「明るい」と見ています。
所長によると、コップの水は「半分も入っていると思うか、半分しかないと思うか?」の違いとか。
執筆:マダム・カトウ