ルーブル美術館所蔵の『モナリザ』にクリームパイ投げ その動機は「環境保護」

2022.05.31

モナリザにパイ投げつけ男 環境問題が動機?ルーブル美術館、名画『モナリザ』の前の様子(2021年6月、筆者撮影)

5月31日(火)、先日29日(日)にルーブル美術館収蔵の世界的名画『モナリザ』(”La Joconde”)の保護ガラスを割ろうと試み、クリームパイを投げつけた男が逮捕されるという事件が起こりました。「環境保護を訴えるためにやった」という男は現在パリ県警管轄の精神病院に収容されています。

 

モナリザは無事、保護ガラスにクリームパイ

観光客で混雑する日曜日、カツラをかぶって老婆に変装し車椅子に乗った36歳の男が、突然立ち上がってモナリザの絵を保護する分厚い防弾ガラスを叩き割ろうと試み、割れないことがわかるとクリームパイとバラの花を投げつけました。

男がパイを投げつける様子を撮影した人はいなかったようですが、現場にいた観光客のビデオには保護ガラスについたクリームを拭き取ろうとする警備員の姿が写っています。

「環境問題に目覚めよ」アーティストにメッセージ?

男は係員に連行されながら、「地球を破壊しようとしている人たちがいます。アーティストの皆さん、地球(環境問題)について考えてください」「その(注意喚起の)ために私はやった」(”Il y a des gens qui sont en train de détruire la Terre (…) Tous les artistes, pensez à la Terre. C’est pour ça que j’ai fait ça. Pensez à la planète”)と叫んでいます。

ガラスで保護されたモナリザの絵は無傷で、男はすぐ警備員に取り押さえられた後警察に引き渡され、現在精神病院に収容されています。

パリ県警により「文化資産破壊未遂容疑」で詳しい捜査が開始されました。

 

モナリザへの攻撃、過去にも何度か

レオナルド・ダ・ヴィンチ(Léonard de Vinci)の名画への攻撃は、これが初めてではありません。

2009年、ロシア人がティーカップ

2009年8月、ロシア人の女性観光客が、空のティーカップをモナリザめがけて投げつけるという事件が発生しています。この時すでにモナリザは防弾ガラスで覆われていたため、ティーカップは粉々に割れ、絵に被害はありませんでした。

モナリザ、1956年の被害から保護ガラス、2005年に防弾ガラス

1956年、ボリビア人男性がモナリザに向かって石を投げ、モナリザの左肘の部分に傷をつけています。この事件を機に、この名画の前には保護ガラスが取り付けられています。

さらに2005年からは、現在も利用されている、湿度と温度を調整できる特別なケースで保護されています。ケースは防弾ガラスレベルの強化ガラスで作られています。

コロナ禍前は、毎年約1千万人がルーブル美術館を訪れ、モナリザを鑑賞しています。世の中にはいろんな人がいますから、大事に保護を受け、いつまでも微笑み続けてもらいたいものです。

執筆:マダム・カトウ

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