フランス 猛暑でモンブラン「登らないで」落石リスク急増で

2022.07.15

フランス 猛暑でモンブラン「登らないで」

7月15日(金)、フランスで6月末から続く猛暑とそれに伴う干ばつの影響が「ヨーロッパの屋根」モンブランにも及んでいます。モンブランの王道登山ルート「グーテ」(”du Goûter”)は落石リスクが高く、地元の登山ガイド協会はこのルートの登山を延期するよう呼びかけています。

 

「一生に一度は登りたい」モンブランにも温暖化の影

ヨーロッパアルプス最高峰のモンブラン(標高4,810m)はヨーロッパのみならず、世界中の登山愛好家が一度は登りたい憧れの山の一つですが、温暖化の影響で年々、万年雪が溶けており、そのスピードは加速する一方です。

今年6月末にフランスで続いた猛暑で、落石リスクが一層高まり、すでにベテランのアルピニストが死亡する事故も起きています。

モンブラン登頂にはいくつかルートがありますが、ノーマルルート(Route normale)と呼ばれる一般ルートには、テット=ルース(réfuge de Tête-Rousse)小屋、グーテ小屋(réfuge du Goûter)を回るグーテルートとエギーユ・デュ・ミディ(Aiguille du Midi)の2つがあります。

どちらも難易度は高いですが、「グーテ」(「おやつ」)の愛称で親しまれるルートは、どちらかというと体力的には楽と言われているためか、人気が高く、ピークシーズンは1日に200人から300人の登山客がこのルートから頂上を目指しています。

 

猛暑による深刻な干ばつ、落石リスクで登頂は延期を

年間35,000人の登山客が頂上を目指すモンブランですが、今週から本格的な夏休みに入り登山のピークシーズンに突入しています。

そんな中、先週末からフランス全土は猛暑に見舞われ、昨日14日、モンブランが位置するオート=サヴォワ県(Haute-Savoie)庁とサン=ジェルヴェ=レ=バン(Saint-Gervais-les-Bains)市は登山客に注意を呼びかける声明を発表しました。

同県では過去数週間にわたり深刻な干ばつに見舞われ、落石リスクが頻繁に起きています。落石は昼夜問わず発生していますが、これまで比較的リスクが低いと言われ、登山客の出発が多い早朝にも発生リスクが高まっています。

そのため、登山客にこのルートを利用した登頂を延期するよう呼びかけています。

サン=ジェルヴェ=レ=バンおよびシャモニー=モンブラン(Chamonix-Mont-Blanc)登山ガイド協会は、一時的にこのルートのガイドの提供を中止しています。

 

「グーテルート」が禁止されないワケ

「グーテ」ルートを利用した登山は、ガイド協会からも「延期を強く推奨」されていますが、「禁止」された訳ではありません。これについてガイド協会は、禁止した場合、禁止が解除になった時に「安全だと勘違いする人が出るから」とコメントしています。

そもそも危険な「死の回廊」

利用者の多いグーテルートには「死の回廊」(”couloir de la mort”)と呼ばれる難所があります。

テット=ルース小屋(標高3,167 m)とグーテ小屋(標高3,835 m)の間にあるこの峡谷は、温暖化の問題が騒がれる前から落石の多発箇所になっており、1990年から2017年の間に102人が命を落とし、230人が怪我をしています。

オート=サヴォワ県および地元サン=ジェルヴェ=レ=バン、シャモニーでは、事故多発でモンブラン登山のイメージを悪化させないためにも、天候や危険情報を登山客に周知させることでリスクを軽減することに力を入れています。

執筆:マダム・カトウ

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