フランス熱波 各地で40℃、パリ今週末39℃に 暑さで休校も

2022.06.17

6月17日(金)、欧州は14日から気温が上昇し、フランスでは本日南西部を中心に最高気温が40℃を越える予想になっています。パリ市でも明日18日は39℃になるなど、6月としては前例のない猛暑により、フランスの約4分の1にあたる地方で注意警報および警戒警報が出されています。学校では休校許可など直近の対策が取られる一方、校舎の改装や校庭の緑化による長期的な対策が急務となっています。

 

フランス12県で警戒警報、6月に過去最高気温の更新相次ぐ

昨日16日、南仏エロー県(Hélaut)のサン=ジャン=ドゥ=ミネルヴォア(Saint-Jean-de-Minervois)では、いち早く気温が40℃を越えました。

これはコルシカ島を除くフランス本土における6月の気温としては、過去最高記録となっています。

今回の猛暑のピークとなる明日18日は、さらにランド地方(Landes)、ポワトゥー=シャロント地方(Poitou-Charentes)ヴァンデ地方(Vendée)で気温の「過去最高記録が塗り替えられる」とフランス気象庁は見ています。

このため、フランス保健省は猛暑に関する問い合わせができる無料コールセンターを設置しました。

ボルドー市(Bordeaux)のあるジロンド県(Gironde)では、本日14時以降、屋外の全ての催し、およびクーラーのない屋内での催しが禁止されます。

 

小中学校「休んでも良い」、バカロレア試験会場「水を配る」だけ?

フランス教育省は本日「警戒警報」が出ている12の県の小中学校に関して、両親が希望すれば「学校を休ませても良い」と発表しました。

また、バカロレア試験の真っ最中である高校に関しては、試験会場で水を配るなどの対策がとられていますが、自治体によっては試験会場をクーラー設備のある市民会館などに急遽変更するところも出ています。

これに対し、南西フランス、トゥールーズ市(Toulouse)のフランス小中学校の教員組合(SNES-FSU)ピエール・プリウレ(Pierre Priouret)氏は、「水を配るだけでは限度がある。気温が40℃になるたびに休校するのはなんの解決にもならない」と、国は長期的な対策に投資すべきだと主張しています。

夏は暑く、冬は寒いフランスの学校

フランスの公立小中高校ではクーラーの設置がなく、昔ながらの古い校舎では断熱などが不十分で「夏は暑く、冬は寒い」ところがほとんどです。また、校庭はアスファルトで舗装されているため夏はさらに暑さを助長します。

プリウレ氏は「クーラーの設置は温暖化に貢献するだけだ」と小手先だけの解決方法は希望していないことを明確にしています。

年々夏の暑さが厳しくなっているオート=ガロンヌ地方(Haute-Garonne)では、建物の断熱を強化し、地熱学的なアプローチで校庭の舗装を剥いで土に戻し、草木を植える計画が進められています。

 

地球温暖化、モロッコで発生した熱波がフランスへ

フランス気象庁によると、この時期的に早すぎる異常な猛暑を引き起こしている熱波は北アフリカで発生し、イベリア半島上空からフランスに流れ込んでいると説明しています。

すでにスペインでは先週末、最高気温が43℃に達し、今年初の山火事が起きるなどの被害が出ています。北イタリア、ポー平原地域でも緊急事態宣言が発令され、干ばつで給水制限が行われています。

 

20年前の猛暑、15000人の高齢者死亡の教訓は?

2003年の夏、フランス各地で40℃を超える日が続き、一人暮らしや高齢者施設に入居する高齢者を中心に15,000人もの死亡者が出ました。

この惨事を教訓に、猛暑警戒警報ならびに注意警報が法令化されています。

高齢者施設では注意警報が出た場合の対策が事細かに決められ、共有スペースへのクーラー導入などが行われました。

しかしながら、個人宅にクーラーがあることが稀なフランスでは、20年前と同じく一人暮らしの高齢者に対する熱中症防止などの対策については、現在でも十分に行われているとは言い難い状況です。

執筆:マダム・カトウ

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