フランス大統領選 マクロン候補、極右ルペンに猛反撃

2022.04.15

フランス大統領選 マクロン候補極右ルペンに猛攻撃

4月15日(金)、決選投票を24日(日)に控え、本格的な選挙キャンペーンのためフランス各地を訪問する現職マクロン候補は、自身の公約を直に国民に説明するだけでなく、極右ルペン氏の「根拠のない?」公約への「歯に衣着せぬ」強烈な批判を展開しています。

 

コロナ禍で「ロシア製のワクチン」導入を推奨したルペン氏

今週火曜日、マクロン候補は2020年3月にコロナ感染者急増による病床の逼迫から、軍隊がテントを張り「野戦病院」を設置した病院の駐車場で演説しました。

その中で、大統領というのは「平時だけでなく、危機の際にも責任を持って任務を遂行すること」であると述べ、ルペン氏が当時(副作用などでその後禁止となった)治療薬『クロロキン』で国民を治療すると豪語し、WHO(国際保健機構)が「効果のほどが疑われる」としたロシア製のワクチンの大量接種を「奨励していた」ことを忘れていないと強烈に批判しました。

ルペン氏は「デマで民衆扇動」

新型コロナの治療法も確立しておらず、マスクもなく、ワクチンもまだ出回っていない時期の政府の対応は、ルペン氏を含む野党からの非難の的でした。

政府が発表するさまざなな対応策、特にワクチンパスポート導入などにルペン氏が「猛反対していた」ことをあげ、「これらの対策がなかったら、コロナ禍を乗り越えることはできなかった」と、マクロン候補は自らのコロナ対策が一定の成果を上げたことを評価するとともに、ルペン氏の危機管理能力の低さを強調しました。

さらにルペン氏に対し、各国で台頭するポピュリズムの波に乗ろうとして「デマで民衆を扇動することは平時なら可能かもしれない」が、本当の危機が訪れたときには国と国民にとって「致命的」になると牽制しました。

また、「フランス人優先」を掲げながらも以前からプーチン大統領との親密さを強調していたルペン氏を「外国からの影響に踊らされている」と、同氏が本来真逆の行動をしており、当選目的で過去の発言をうやむやにしようとしている事を暴露しました。

 

ルペン氏の「財源なき定年60歳」を「お金ないのにプレンゼント」と批判

現在62歳の定年について、両候補は「引き上げ」と「引き下げ」という真逆の公約を打ち出しています。

マクロン候補は「段階的に」65歳に引き上げることを提案し、ルペン氏の案は現在の62歳を維持しつつも、自身の支持層である工場労働者などに多い、10代から若くして就業開始した人の60歳からの定年を認めるというものです。

人生100年と言われる高齢化社会の財源確保が年々厳しくなる中「60歳に引き下げ」という非現実的な公約を打ち出すルペン氏を「どうやって払うかわからないのに、プレゼントを用意したと人々に吹聴」とマクロン氏は批判しています。

マクロンは定年引き上げ「取り憑かれている」、ルペン氏

マクロン氏は第1期任期中も定年65歳、および一部のRATP(パリ地下鉄)職員に与えられている55歳定年の特別制度の廃止を公約に掲げていましたが、労働組合など各方面の反対で改正には至っていません。

ルペン氏は「マクロン氏は(定年の引き上げに)取り憑かれている」と発言し、今回の選挙最大の争点にもなっています。

これに対し、マクロン氏も選挙を意識して「段階的であること」や「条件にはばを持たせる」といった対策を講じて批判を交わそうと試みています。

 

「フレキシットしたい」と「言えなくなった」ルペン氏

5年前の大統領選でも「親ヨーロッパ」のマクロン候補と「反ヨーロッパ」のルペン候補の対立が浮き彫りとなりましたが、今回もウクライナ侵攻で国民の関心が高く前回以上に重要な争点となっています。

ルペン氏はウクライナ侵攻からこれまで打ち出していた「フレキシット」を公約から引っ込めましたが、財源確保の一環としてEU加盟国が支払うべき負担金を「減額」すると発表していました。

EU離脱しないが「負担金を減らす」の意味は

これに対しマクロン候補は「(ルペン氏は)ヨーロッパというクラブに所属しながら、メンバーシップは払わない」と豪語し、しかもそういう大事なクラブの規則変更を「彼女がたった一人で決められる」と言っているが、それは「クラブから離脱すると言っているのと同じ事ではないか?」と当選目的で隠された極右候補者の野心を忘れないように釘をさしています。

また、ルペン氏が当選をしたいがために「フレクシットしたいと言えなくなっただけ」とも述べています。

マクロン候補はさらに、「彼女はブルガリアやポーランドといった友達と新しいクラブを結成しようとしている」が「ヨーロッパにとってもここストラスブール(Strassbourg)にとっても良くない」と選挙キャンペーンで訪問中のストラスブールで発言しました。

執筆:マダム・カトウ

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