仏マクロン大統領、再選へようやく出馬表明 フランス国民へ書簡

2022.03.04

フランス エリゼ宮

3月4日(金)、フランス大統領選挙第一回投票まであと38日に迫るも、ロシアのウクライナ侵攻が続くという予断の許されない状況下で、マクロン大統領は昨晩国民宛の書簡を公表し、ようやく再選へ向け立候補する事を表明しました。

 

黄色いジャケット、コロナ禍、ウクライナ戦争

マクロン大統領の5年間の任期は、黄色いジャケット運動に始まり、新型コロナウイルス、そしてロシアのウクライナ侵攻という激動の中幕を閉じようとしています。

マクロン氏はもともと政治家というより投資銀行勤務の職歴を持つテクノクラート(高級官僚)で、オランド前大統領下では大統領府副事務総長の肩書で同大統領の側近となって政治の世界に入りました。

2014年には経済・産業・デジタル大臣に就任し、大統領選を1年後に控えた2016年、任期中に自らの党を結成して政治への意欲を表明したことで、大統領選立候補が噂されていました。

「改革者」から「現状維持」へ

2017年に39歳の若さでフランス史上最年少の大統領となったマクロン氏ですが、大統領選に向けての選挙キャンペーンでは、「改革」や「過去との決別」といったイメージを全面に出し「革命」を公約していました。

再戦をかけた今年の選挙に向けては、今まで同様、社会的、衛生的な面での「改革者」である事に変わりはないとしつつも、2月末に勃発したウクライナ戦争を受け、国民を外敵から守る「戦士」として「安定」を全面に打ち出しています、

 

マクロン大統領がフランス国民に宛てた「書簡」

マクロン大統領は昨日月3日、4月の大統領選への出馬を表明する「フランス国民へ」と題した書簡を発表しましたが、その中でも同大統領の基本的な「路線」を垣間見ることができます。

ヨーロッパと共に、未曾有の危機を乗り越え「明るい未来」を準備

「この5年間、フランスは未曾有の困難を共に乗り越えてきました。テロ、伝染病、暴動、そして欧州内での戦争など、ここまで度重なる危機に直面したことは未だかつてありません。それらの問題を、私達は尊厳と友愛を持って、決してあきらめずに対処してきました」

と始まる書簡で、自身の立候補を発表すると同時に、選挙キャンペーンが(ロシアのウクライナ侵攻で)予定通りに運ばなかったことに触れています。

マクロン氏は、大統領候補者の一人として「フランスおよび一致団結したヨーロッパ」が「変動する世界からの脅威において、今世紀最大の挑戦に立ち向かい、我々の価値観(民主主義)を守り続ける」ことを約束するなど、フランスの「主権の維持」を強調しています。

「経済」という単語は1回だけ

書簡の中に「経済」という単語は1度しか使われておらず、それも主権維持には「強い経済が必要」と、安全保障にも関連した流れで言及されています。

2年間続いたコロナ禍にもかかわらず失業率が低いことからか、経済よりも「労働への評価」や「減税」を強調しています。

海外から入ってくるデジタル改革ではなく、イノベーションや研究への独自の投資をさらに強化し、脱炭素、原子力、グリーンエネルギー、宇宙、デジタルなどの分野でフランスが抜きん出ることの重要性を説いています。

また、フランスはグリーンエネルギー大国となることで、(ロシアへの依存が高い)「ガス」や「石炭」などを排除する「最初の国になることができる」と述べています。

 

ウクライナ戦争で支持率アップ、過去2代大統領より評価高く

2月末のロシアのウクライナ侵攻を受け、現在のマクロン大統領の支持率は40%と1ヶ月前より5ポイント上昇し、過去4年間では最高の数値となっています。

さらに過去15日間で「マクロン候補」への投票意図は5ポイント増の29%に躍進し、1.5ポイント減で16%に後退した2位のマリーヌ・ルペンとの差を広げています。

一方、マクロン大統領の任期5年間の総合評価は「評価する」が38%で、62%の国民に評価されていないという手厳しいものになっています。

とはいえ、オランド前大統領(21%)、サルコジ元大統領(30%)と再選を果たせなかった過去二人の大統領と比較すると健闘していると言えるでしょう。

執筆:マダム・カトウ

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