2022年フランス大統領選 世論調査で「右傾化」くっきり

2021.11.12

フランス2022年大統領選世論調査 マクロン大統領優勢

11月12日(金)、2022年フランス大統領選挙の投票意図を調べる直近の世論調査では、最有力のマクロン現大統領に次いですでに立候補を宣言している極右のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏が2位となっています。3位は極右的発言を繰り返す論客エリック・ゼムール(Éric Zemmour)氏で、出馬表明をしていないにもかかわらず人気が高まっています。

 

マクロン大統領優勢も極右が台頭

来年4月10日に第一回投票、同じく4月24日に上位2候補者による決選投票が行われるフランスの大統領選挙を数ヶ月後に控え、今月行われた有権者の投票意図調査で、現職のマクロン大統領が25%で前回同様首位を保っています。

2位は前回2017年の決選投票で33%の得票でマクロン氏に敗れ、今回も対立候補として有力視されている極右のマリーヌ・ルペン氏(53)の17%で、3位は過激な発言で人気を博す右派のエリック・ゼムール氏(63)が14%を獲得しています。

極右ルペン氏、保守右派へのイメージアップを探る

ルペン氏は極右国民連合(Rassemblement National:RN)の元党首でしたが、22年の大統領選に向け離党し現在は無所属です。

国民連合は国民戦線(Front National)と呼ばれるマリーヌ氏の父が創設した極右派の政党を2018年に改名した党ですが、

EU離脱、反ユダヤ主義、反移民を掲げ、人種差別発言を繰り返していた父ジャン=マリー(Jean-Marie Le Pen)氏と距離を置き、穏健路線を取ることで伝統的な保守政党の仲間入りを果たそうとしていました。

マリーヌ氏は2012年の大統領選(当選は社会党のオランド元大統領)初出馬の際、第一回投票で17.9%を獲得して3位につけ、前回2017年の選挙では決選投票まで進んでいます。

また、来年悲願の当選に向け「極右」のイメージを一掃し「保守系」「右派」支持層を取り込むため、自ら作った国民連合すらも離党し現在無所属という状況です。

自称「保守」のゼムール氏、「人種差別、反イスラム、女性蔑視」が売り物

まだ出馬表明もしていないうちから、世論調査で3位につけているエリック・ゼムール氏はユダヤ系フランス人で、保守系有力紙『ル・フィガロ』の政治記者を経て、現在はミリオンセラー作家、政治評論家として知られています。

ゼムール氏はその著書「フランスはまだ終わっちゃいない」(仮題、原題:”La France n’a pas dit son dernier mot”)の中で「フランスは旧植民地のイスラム系移民にキリスト教の白人社会を乗っ取られる」「我々(白人)は偉大なるフランスを取り戻すべきだ」と反イスラム、反移民の立場を明確にしています。

過激な発言で人気のジャーナリストあることからこれまでテレビやラジオ番組に多々出演し、その度にEUやフランスの移民政策を痛烈に批判してきました。

数々の訴訟、有罪判決も

2018年に出演したテレビ番組では、出演者でアフリカ系女性実業家のアプサトゥ・スィー(Hapsatou Sy)氏に「あなたは名前をフランス風に変えるべきだ。コリンヌでどうですか?あなたにぴったりだと思います」と発言した後、移民のファーストネームのフランス化(キリスト教系の名前を使用)の必要性について滔々と語り、後日この女性から訴えられています。

2020年の11月には、2015年にテロ事件が起こった旧シャルリーエブド社前でイスラム系の移民による殺人に触れ、「ああいった若者、そして全ての移民はフランスに要らない。彼らは泥棒か殺人犯かレイプ犯以外の何者でもない。だからフランスを追い出して国に返すか、いやそもそも入国するのを阻止すべきだ」と述べています。

ゼムール氏はまた過去の発言でいくつもの訴訟を抱え、有罪判決も受けています。さらに現在セクシャルハラスメントでも訴えられています。

 

極右ルペン支持層、ゼムール氏に奪われる?

ルペン氏が「過激な発言」を控え、伝統的保守層を取り込もうとする中、ゼムール氏はアメリカのトランプ前大統領のような「過激な発言」を売り物にしています。

特にルペン氏が所属していた国民連合の支持層の多くが白人労働者層であったのと違い、ゼムール氏は評論家であることから高学歴、高齢者など伝統的保守層など幅広い層から支持を得ています。また、多くの著書に共感する支持層が多く存在しています。

一部の保守党議員や国民連合の党員も支持を表明しており、マリーヌ・ルペン氏つまり従来の極右の支持層をもジワジワと取り込んでいます。

伝統的な党や左派、振るわず

右派でも伝統的保守党である共和党(Les Républicains)は、グザヴィエ・ベルトラン(Xavier Bertrand)氏らが出馬を表明していますが、今回の調査ではベルトラン氏は14%で極右候補2者に抜かれ4位にとどまっています。

左派は、極左の「屈しないフランス党」(La France Insoumise)党首ジャン=リュック・メランション(Jean-Luc Mélenchon)氏の9%、エコロジー緑の党(Les Verts)ヤニック・ジャドー(Yannick Jadot)氏の6.5%、伝統的左派の社会党(Parti Socialiste)は現パリ市長のアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)氏の5%と低迷が続いています。

執筆:マダム・カトウ

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