2023年2月17日(金)、エールフランス航空は2022年に7億2,800万ユーロ(約1,043億円/1ユーロ=143円)の利益をあげ、2019年以来3年ぶりに黒字化したと発表しました。
2022年の利益、コロナ禍前の2倍以上に
エールフランスの2022年の黒字は7億2,800万ユーロで、コロナ禍前2019年の2億9,000万ユーロ(約416億円)の倍以上の好業績となりました。
同社の業績は、2020年、ロックダウンによる空港閉鎖などにより71億ユーロ(約1兆195億円)の赤字、2021年もさらに33億ユーロ(約4738億円)の巨額の赤字を出すなど創業以来の危機に直面していました。
そのため、この2年間、政府による多大な支援を受けていましたが、対価として様々な制約を受けていました。
これが昨年の業績黒字化に伴い、今年の4月に解除されると同社は見ています。
利用客8,300万人、売り上げ、ほぼコロナ前レベルに回復
売り上げも2019年の272億ユーロ(約3兆9048億円)には届かなかったものの、2022年は264億ユーロ(約3兆7910億円)にまで回復、旅客数も3年前に比べ2,100万人ほど少ないながらも8,300万人とコロナ禍前の85%に到達しています。
エールフランスーKLM航空(Air France-KLM)のスミス社長は(Benjamin Smith)昨年の業績回復について、「弊社は黒字化することで、完全にコロナ禍からページをめくり、新たな未来への挑戦ができると確信している」と述べています。
コロナ禍で倒産寸前に追い込まれた同社は、フランスおよびオランダ政府による2度にわたる大規模な増資により、コロナ禍前よりも本質的に収益性が高まる、という思いがけぬ再起を果たしています。
資金援助のみならず、スミス社長の元、同社は燃費の悪い航空機の売却、希望退職による人員削減など、経費の大幅な削減を遂行しています。
それにより、2019年末に85,600人だった同社の従業員数は、2022年末には約1万人減の75,500人になっています。
負債、63億ユーロに減少、営業利益率コロナ前超え
経費削減効果が功を奏してか、2022年の営業利益率は4.5%と実に2019年の4.2%を抜いています。
2021年末時点で82億ユーロ(約1兆1775億円)あった負債は、1年後、2022年末には63億ユーロ(約9047億円)にまで減少しています。
エールフランスーKLM航空はまた、負債とEBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)の比率数値の目標を、2023年は2〜2.5に設定していましたが、昨年の好成績ですでに1.8と目標を達成しています。
同社はフランス政府保証貸付金の残金25億ユーロ(約3587億円)の返済をし、株式6億ユーロ(約861億円)分の資本金への組み入れを行う予定ですが、フランス政府の株保有率はこれまで通り28.6%が維持されます。
配当禁止など4月には解除 スミス社長の手腕
巨額の資金援助の代わりにフランス政府が同社に課した条件は、株主配当の禁止・役員報酬の制限・企業買収(コロナで弱体化した他の航空会社など)の制限で、スミス社長は4月には、政府への借金の返済を終え、制限から解放され正常に株式市場で資金調達ができる体制にしたいと述べています。
2018年9月に社長に就任し、コロナ禍を経て同社の立て直しを達成したカナダ人社長の手腕には賞賛の声が上がっており、すでに昨年3月に任期が5年延長されています。
執筆:マダム・カトウ