2023年2月21日(火)、フランスでは1月21日から本日まで、実に31日間まとまった雨が降っていません。これは過去最長だった1989年冬の22日間の記録を塗り替える歴史的な干ばつが続いています。現在の土壌の乾燥度は4月半ばの状態に匹敵しており、農業や飲料水への影響が懸念されています。
観測史上、最も乾燥した2月 湖の水が枯渇
フランス気象庁(Météo France)によると、1月21日から昨日20日まで31日間も降水が観測されておらず、1989年の22日間という最長記録を抜いて、冬の観測史上最長の干ばつとなっています。
冬季に限定せず、年間を通じて最も長い間雨が降らなかった期間は2020年3月17日から4月16日の31日間でした。
もし本日全国的に雨が降らなかった場合、夏季、冬季に関係なく、フランス観測史上最も長い干ばつ記録を更新することになります。
ちなみに現時点(21日午前10時)で、パリは雲ひとつない晴天ですが、明日22日(水)もしくは23日(木)には全国的に雨模様との予報が出ており、記録の更新はストップしそうです。
フランス気象庁の「降水」の定義は1ミリ以上の雨が降ることなので、今年1月21日以来1ミリ以上の雨が降った日が1日もないことになります。
そのため2月の降水量不足分は50%以上に達し、1959年の観測開始以来、最も乾燥した2月となってしまいました。
昨年の記録的猛暑で地下水すでに枯渇
毎年、冬になると雨水が帯水層(地下水が貯蔵される部分)に補充されるため、冬の降水量が1年の地下水の量を左右します。
昨年夏の記録的な猛暑で、すでにこの帯水層の地下水は枯渇しています。
気象庁によると、2021年の8月以降現在に至るまで、2021年の12月、2022年6月と9月を除き、毎月降水量の不足が発生しています。
この冬、南フランスで湖や河川が枯渇
南仏プロヴァンス地方(Provence-Alpes-Côte d’Azur)のヴァール県(Var)にある85の市町村で「干ばつ注意報」が出ており、山火事を警戒するとともに節水を呼びかけています。
さらに2つの自治体には「干ばつ警報」が出るなど深刻な水不足に陥っています。
ブロック湖(lac du Broc)はヴァール県最大の帯水層の上にありますが、現在地肌が見えるほど水面が下がってしまいました。
地元の専門家によると、この地域の地水面は干ばつで2〜3メートル下がり、現在地下18メートル下に位置しています。
また、イソル(Issole)川は、カルセス湖(lac de Carcès)からの水が途絶えたためこの冬完全に水がなくなり、散歩道や子供の遊び場になってしまいました。
執筆:マダム・カトウ