フランスでは冬のヴァカンスを迎えている方も多いかと思います。このヴァカンス中には、2月21日(火)の「マルディ・グラ」また「肥沃な火曜日」(Mardi gras)という、キリスト教にゆかりのある祭日が含まれています。一体どのような意味があるのでしょうか?
「マルディ・グラ」???
「マルディ・グラ」は、日本ではあまりなじみのない祭日でしょう。では、翌日の「灰の水曜日(Mercredi des Cendres)」はどうでしょうか。
ではイースター(復活祭、les Pâques)は、いかがでしょうか。フランスでは国民の祝日となっていますね(今年は4月10日です)。日本でも最近、うさぎやイースターエッグのモチーフのお菓子などが売られるようになっています。
イースターと灰の水曜日
「灰の水曜日」またイースターは、キリスト教文化のなかで大切にされてきた祭日です。イースターは、預言者イエス・キリストの復活を祝う日で、とくに盛大にお祝いされます。
イースターまでの準備期間は「四旬節(le Carême)」と呼ばれ、この四旬節の初日である「灰の水曜日」は、この日から準備を始めると、イースター当日に洗礼を受けられる日とされてきました。
「マルディ・グラ」の由来
では「マルディ・グラ」は、これらのキリスト教のお祭りになにか関係があるのでしょうか。現在「マルディ・グラ」を祝う地域をみると、カトリック文化が根付いているところもあれば、そうでないところもあります。
そこで「マルディ・グラ」の歴史をさかのぼってみると、ローマ時代の農民文化と、キリスト教の文化が混ざりあって、現在に至ることがわかります。
謝肉祭(カーニバル)
ローマ時代の農民たちは、この時期、長い冬を越し、春の訪れを待ち望んでいました。
そして、豊作を願うため、ごちそうを食べたり、仮装などをして踊りを楽んでいました。現在「謝肉祭」また「カーニバル」(carnaval)と呼ばれるお祭りです。
四旬節
一方、キリスト教では、四旬節の間、信者はバター、卵、牛乳、チーズ、肉などの「脂をふくむgras」食品を控えます。この期間を前に、普段よりも豪華な食事をする習慣がありました。
この謝肉祭と、四旬節前のなわらしが影響し合ったことで、4世紀ごろからキリスト教文化のなかで「マルディ・グラ」を祝うようになったと言われています。
現在の「マルディ・グラ」
現在は、2月末から3月のあたまにかけ、世界各地で「マルディ・グラ」また、謝肉祭が祝われています。
とくにヴェネツィア(イタリア)、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)、ニュー・オーリンズ(アメリカ)のカーニバルが有名ですね。ニュー・オーリンズでは、カーニバルのことを「マルディ・グラ」と呼んでいます。
そしてフランスでも、ダンケルク、ニース、アヌシー、また海外県のグアドループでカーニバルが行われています。
揚げドーナツのようなベニエ(beignet)、南仏やイタリアではビューニュ(bugne)と呼ばれる揚げ菓子、またワッフルなどを食べる風習があります。
これらのお菓子を見つけたら、ぜひ「マルディ・グラ」の歴史を思い出してください。
執筆あお
参照
La Croix (05/03/2021) Qu’est-ce que le mardi gras ?