フランスのパリでは毎年10月末〜11月初めにかけて、チョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ（Salon du chocolat）」が開催されます。世界各地からショコラティエ（チョコレート職人）やメーカーが集結し、例年10万人以上が開場でチョコレートを楽しみます。
日本でも毎年１月からバレンタインデーの時期にかけて全国の百貨店などで開催され、フランスなど世界各地のチョコレートを買うことができます。
今回はこの「サロン・デュ・ショコラ（Salon du chocolat）」をご紹介します。
世界規模 チョコレートの祭典
チョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」は、1995年にパリで初めて開催されました。
2021年度はリヨン（フランス）、ブリュッセル（ベルギー）、ニューヨーク（アメリカ）、モスクワ（ロシア）、ベイルート（レバノン）、ソウル（韓国）、上海（中国）など世界各地で開催が予定されています（パリを含むいくつかの都市ではすでに終了）。
初めは誰も相手にせず…
サロン・デュ・ショコラは、マネジメント会社の経営者であったシルヴィ・ドゥース（Sylvie Douce）が、友人で建築家のフランソワ・ジャンテ（François Jeantet）を誘って始まりました。目的は、チョコレートを世に広めること、製造者とショコラティエをつなぐこと、そして若い世代を中心にチョコレートの専門職を広めることでした。
構想当初には「チョコレートの祭典なんて！」「絶対にできない！」と言われ、現在のような成功は予想しえなかったと、ドゥースは20周年の節目に明かしています。しかし経営に長けたドゥースと、デザインや広告を担当したジャンテの二人三脚によって、このイベントは瞬く間に世界から注目を集めるようになりました。
パリから世界へ
約１年の準備を経て、1995年10月28日、パリの貿易センター（Eiffel Branly convention centre）で第１回サロン・デュ・ショコラが開催されました。40の出展者があつまり、４万人が訪れ大成功を収めます。
1998年にはニューヨーク、そして2000年にはついに日本へも進出しました。日本の百貨店では、いまやサロン・デュ・ショコラが１月末からバレンタインデーにかけての風物詩となっています！
サロン・デュ・ショコラ ここに注目
今年のパリでは10月28日から11月１日まで、見本市会場ポルト・ドゥ・ヴェルサイユ（Porte de Versailles）で開催され、老舗ブランドから新規のショコラトリー、カカオ生産者まで10カ国から140の出展者があつまりました。
期間中は、ショコラトリーによる新作の発表、ファッション・ショー、アート作品の展示、カカオ生産者によるデモンストレーション、ワークショップやサイン会など、チョコレートに関するあらゆるイベントで賑わいます。
「ビーン・トゥ・バー」
近年チョコレート業界で注目を集めているのは、「ビーン・トゥ・バー（英bean to bar, 仏de la fève à la tablette）」という言葉です。
これは「豆からタブレットまで」、つまりカカオ豆の生産から加工まで製造者が一貫して行うことを指します。チョコレートの生産において、とくにカカオ豆の生産地で、劣悪な労働環境や急速な自然破壊の問題が認識されるようになったことがきっかけとなり、持続可能なチョコレート消費に注目が集まっています。
持続可能なチョコレート生産・消費へ
フランス・アンフォ（France Info）によると、カカオ豆の生産者にはチョコレートの消費者が最終的に払う価格のわずか６％しか届かないといいます。
チョコレートの品質を保ちつつ、生産者の最低賃金を守り環境保全に努めるため、フランスではさまざまな民間団体や政府の取り組みが行われています。
今年度のパリ開催では、サントメ・プリンシペ、ベネズエラ、ペルー、マダガスカルなどから生産者が参加しカカオ生産の工程などを紹介しました。
日本のサロン・デュ・ショコラは20周年
日本では例年、東京・京都・名古屋・札幌・福岡・仙台などの百貨店を中心に開催されています。2002年に正式にサロン・デュ・ショコラが日本に上陸してから今回で20周年を迎えます。
バレンタインデーに合わせて恋人や家族や友人へのプレゼントを選ぶも良し、自分へのご褒美としてお気に入りを見つけるも良し…。多くの百貨店がオンラインショップも開設しているので、コロナ禍でも楽しむことができます。
〜パリ発、チョコレートの祭典〜#サロンデュショコラ2022
🍫三越伊勢丹オンラインストア サロン・デュ・ショコラ情報ページをオープンしました。
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— サロン・デュ・ショコラ 日本公式 (@sdc_sns) December 1, 2021
ショコラティエに会えるかも
例年はフランスなどからショコラティエが来日し、会場で直接チョコレートについて質問したり、おすすめを聞いたりすることができます。ただコロナ禍においては体制の変更が予想されますので、各百貨店などの情報をご確認ください。
公式ムック本で予習！
12月末には「公式ムック本」が発売され、出店予定のショコラトリーなどの情報をチェックできます。会場には数十のショコラトリーが集まるので、お目当てのチョコレートを予習していち早くゲットしましょう！
執筆 あお
（フランス生活とチョコレートの密接なつながりについては、こちらの記事「チョコレート習慣！フランスのショコラ人気はこんなにすごかった！」もぜひご覧ください）
参照
SALON DU CHOCOLAT 公式HP
Les Echos (2014/10/28) Spécial 20 ans du Salon du Chocolat/ Sylvie Douce fait croquer la planète
France Info (2021/10/29) Salon du chocolat : “La filière est extrêmement engagée” dans la durabilité, selon son président
