2021年10月、ポーランドの首都ワルシャワでは第18回ショパン国際ピアノコンクールの開催が予定されています。
ショパン・コンクールは５年に１度。このコンクール・イヤーを楽しむために、前回はショパンの生涯を振り返りました（「パリに生きたピアノの詩人」）。今回は、パリでぜひ訪ねてほしいショパンゆかりの地を巡ります！
ショパンゆかりの地
パリにはショパンゆかりの地がたくさんあります。まずはショパンが住んでいた家やお墓などを巡ってみましょう。
ショパンの住んだ家
パリ市内にショパンが住んだ家は９ヶ所。すべてセーヌ右岸にあります。一人で住んだこともあれば、ポーランドから亡命してきた仲間と住んだこともありました。
パリ９区のショセ・ダンタン 38番地（38, rue de la Chaussée d’Antin）は、ショパンが当時の恋人との結婚に向けて移り住んだ場所です。ショパンはこの家でピアニスト仲間のリストらとサロン形式のコンサートを開き、友人を招きました。現在、建物は残っていないのですが、プレートにショパンの名前が刻まれています。
建物が残っている場所としては、ショパンが最後に住んだパリ１区のヴァンドーム広場 12番地（12, Place Vendôme）があります。現在はジュエリーブランドのショーメ（Chaumet）のブティックがあり、歴史的建造物として大切に保存されています。
葬儀が行われたマドレーヌ寺院
パリ８区のマドレーヌ寺院（Église de la Madeleine）は、ショパンの葬儀が行われた場所です。現在もショパンの命日には追悼演奏会が行われています。
ショパンの生前の希望で、葬儀ではモーツァルトの「レクイエム」が演奏されました。この曲はショパンコンクール開催中の10月17日、ワルシャワの聖十字架教会で行われる追悼ミサでも恒例の曲です。
ショパンが眠るペール・ラシェーズ墓地
マドレーヌ寺院での葬式後、生前の希望によってショパンの心臓はワルシャワに移されましたが、遺体はパリ20区のペール・ラシェーズ墓地（Cimetière du Père-Lachaise）に埋葬されています。
ここはショパンと親交のあった画家ドラクロワ（Eugène Delacroix, 1798-1863）、作家プルースト（Marcel Proust, 1871-1922）やバルザック（Honoré de Balzac, 1799-1850）など、著名な文化人が多く眠る、世界で最も有名な墓地の一つです。
ショパンを学べるパリ名所
次に、ショパンについて学ぶことのできる場所を巡ってみましょう。
ショパンが演奏していた場所 ロマン派美術館
パリ９区にあるロマン派美術館（Musée de la Vie Romantique）は、ショパンの最後の恋人サンド（George Sand, 1804-1876）ゆかりの美術品や、ショパンが実際に演奏した広間があります。
この美術館はもともと、オランダ出身でロマン主義画家のシェフェール（Ary Scheffer, 1795-1858）のアトリエ兼邸宅でした。シェフェールはこの自宅に、親交のあった画家ドラクロワやサンド、そしてショパンやリストなどの音楽家を招いてサロンを開催していたのです。
ショパン直筆譜とピアノ 音楽博物館
パリ19区にある音楽博物館（Musée de la Musique）は、ショパンの直筆譜や、彼が好んで演奏したプレイエル製ピアノなどを所蔵しています。
ショパンの書いた楽譜が集められている博物館としてはワルシャワのショパン博物館（Fryderyk Chopin Museum）が最も有名ですが、パリでもショパンの音楽作品をたどることができます。
ショパン巡り パリも忘れずに！
ショパンが生涯の大半を過ごしたパリにはこんなにも多くのゆかりの地があります。ショパンコンクールが開催されるのはポーランドの首都ワルシャワですが、19世紀前半の雰囲気を想像しながらショパンが生きたパリを巡ってみるのはいかがでしょうか。
待ちに待った５年に１度のショパン・イヤー
５年に１度のショパン・コンクール開催にあわせ、２回にわたりショパンの生涯やパリのショパン・スポットについてご紹介しました。
コンクール開催期間は例年、ワルシャワ中にポスターが貼られお祭りムードになります。またパリの各所でも関連イベントや追悼演奏会などが行われます。
コンクールの課題曲はすべてショパンの曲。様々なスタイルの作品があるショパンを、実力ある出場者たちの演奏でこれでもか！というほど満喫できる至高のコンクールです。
今年は少し静かな開催になりそうですが、前回からはライブ配信なども行われています。ぜひ若きピアニストたちの演奏を見届けましょう！
執筆 あお
参考：
Société Chopin à ParisSes domiciles parisiens[2021.06.20]
ペール・ラシェーズ墓地公式HP[2021.06.20]
ロマン派美術館公式HP[2021.06.20]
音楽博物館公式HP[2021.06.20]
