フランスの「静かな8月」を楽しむ、夏の野外イベントをご紹介

2021.08.18

バカンスで普段の賑わいのない商店街

フランス旅行を計画する場合、時期として夏休みを考える方は多いのではないでしょうか。日本とは違い街のお店やレストランなどもきっちり夏休みを取るこの国では、一部の観光地を除いて8月は静かな月です。今回はパリを中心にフランスの8月についてご紹介します。

 

フランス人にとってバカンスとは

フランス人は会社員でも公務員でもきっちりと長い夏休みを取るというイメージがあるのではないでしょうか。それはあながち間違いではなく、私の周りのフランス人もほとんどが3週間から1か月ほどまとまった休みを取っています。大統領や首相といった公人も同様で、タブロイド紙などに休暇中の写真が出ているのを見たことがある方もいらっしゃるかと思います。

休みが終わり9月になると、オフィスでは同僚と「よく焼けてるね。どこ行ってきたの」とお互いの日焼けを自慢し合う光景が見られます。夏の思い出作りにも、仕事から離れて充電するにも、また仕事に戻ったときの話題作りにも、バカンスは大事な国民的イベントと言えます。

フランスの8月は静か

夏にバカンスを取るのはお店やレストランも同じです。観光客向けの百貨店や大手チェーンストアなどは開いていますが、個人経営だとパン屋など毎日利用するようなお店からミシュラン星つきの有名なレストランまで、8月はまるまる休みというところも少なくありません。

また金銭的に恵まれない方にもバカンスを楽しんでもらおうと、無料のバカンスを企画・提供する慈善団体などもあるほどです。

その結果、普段は賑やかな商店街がシャッター街のように鳴りを潜めることもあります。そのかわり地下鉄や道路は普段より混雑せず、通勤ラッシュは軽減されます。

バカンスを知らせる張り紙

 

夏のパリを楽しむ野外イベント

夜は9時頃まで明るく意外に静かな夏のパリでは、この時期だけの特別なイベントも毎年の恒例行事となっています。

最も有名なのはパリ・プラージュで、海のないパリにプラージュ(Plage=ビーチ)を持ってきて海水浴気分を味わおうというものです。

2002年に当時のパリ市長が始めたときは、セーヌ河岸の自動車道を閉鎖して砂を運び入れてビーチを演出するだけでしたが、近年はパリ市庁舎前の広場にビーチバレーのコートを設置したり、北東のラ・ヴィレット公園の船着場にプールを作ったりといろいろな試みがなされています。

仕事などでパリに残らざるを得ない市民もバカンス気分を味わえて、また観光客にとってもこの時期にしか得られない特別な体験となるのではないでしょうか。

ストラスブール大聖堂のプロジェクションマッピング

他にも近年よく見かけるのが野外での映画の無料上映。パリ・プラージュの会場にもなっているラ・ヴィレット公園のほか、ルーブル宮殿の中庭やルーフトップ・バーなど、パリ市内のいろいろなところで無料で映画観賞ができます。

最近流行のプロジェクション・マッピングもよく行われており、夏の風物詩となっています。パリでは例えばアンバリッドでフランスの歴史を紹介する映写がされています。地方でも、世界遺産のストラスブールやランスの大聖堂をスクリーンにして、その地方の歴史を紹介する動画や地元出身のアーティストの作品などが映し出されています。

野外オペラも夏の夜長のイベントのひとつ。今年のパリの野外オペラの演目は、日本が舞台の「蝶々夫人」でした。謎の着物や歌舞伎のようなメイクなど日本人からすると不思議な部分もありつつも、夕暮れ時の自然光で見るオペラには劇場とはまた違った魅力がありました。

ヴァンセンヌ城での野外オペラ「蝶々夫人」

 

観光に適した8月

このようにフランスの夏はお店やレストランの選択肢が減る一方で、この時期にしかないイベントも多くあります。

近年はヨーロッパでも熱波に見舞われることが多くなりましたが、それでも蒸し暑い日本よりはまだ外を歩きやすく、日も長いため観光に適した時期であることは間違いありません。また、観光客の4分の1以上が8月に訪れるというデータもあります。コロナ禍が明けたあかつきには、ぜひフランスの夏を楽しんでください。

執筆:Takashi

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