2020年に我が家に犬が家族として加わりました。その犬は生まれて4ヶ月目から2歳6ヶ月までを施設で過ごした保護犬。成犬でしたがしつけに関してはたくさんやることがありました。
施設ではシュウという名前がつけられていました。それはフランス人にとっては「Chou（キャベツ、シュークリームのシュー）」と聞こえるらしく、日本語でもフランス語でも覚えやすい名前だったのでそのまま採用しました。
そのうえ、フランス語でChouは可愛い人、愛しい人に呼びかけるときに使う「mon chou（私のキャベツ）」のChouでもあります。また、小さい子供の可愛らしいしぐさを見たとき、やさしい心遣いを受けたときにも「C’est chou.」と言ったりします。「Chou」はとても愛情のこもった言葉なのです。
からだは大きくてもほぼ赤ちゃん状態のシュウのしつけ (=dressage) が始まりました。幸いにもシュウは私たちの言うことを注意深く聞く犬で、あっという間にいろいろ覚えてくれました。
シュウが覚えた「犬のフランス語」をご紹介しましょう。
「お手」と「おかわり」
「お手」は「La patte.」と言います。人間の手はmainですが、動物の手（足）はpatteです。シュウは何も言わなくても「お手」を要求されていると感じると自然にお手をしてくれる犬でしたが、今では「La patte.」でも「お手」でも指示に従えるようになりました。
「おかわり」は「お手」のあとにするものなので、必ず「La patte.」とセットで使います。フランス語では「L’autre.（もう片方）」と言います。
「おすわり」「まて」「おいで」
「おすわり」は「Assis.」です。「座っている」という意味の形容詞です。
「まて」は「Attends.（まつ）」もしくは「Pas bouger.（動かない）」です。
犬にその場で「まて」をさせたまま離れ、離れたところから「こちらにおいで」と呼び寄せるのは「Viens.（おいで）」です。同じようなシチュエーションで「Au pied.（足元に）」と言うこともありますが、こちらはもう少し命令調で、飼い主の足元に来させ、さらにおすわりまでさせるニュアンスがあります。
ほめるときは「C’est bien.」「Très bien.」「Bravo.」など、子供をほめるように頭をなでながら大きな声ではっきり言ってあげましょう。犬が喜びます。何かをやめさせたいときは「Non.」と短くキッパリ言います。
フランスの犬はリードなしで歩いていい？
フランスの街角で出会うほとんどの犬はしつけがよくできています。リードなしで歩いている従順な犬もたくさんいますが、フランス各省庁ポータルサイトにはこう書かれています。
闘犬などの危険な犬以外の普通の犬について
Vous devez tenir votre chien en laisse s’il présente un danger pour les personnes.
人に危害を加える可能性がある犬はリードにつなぐこと。
Le règlement sanitaire départemental prévoit généralement que les chiens ne peuvent circuler sur la voie publique en zone urbaine que s’ils sont tenus en laisse.
一般的に地方保健法では、市街地の公道ではリードでつながれた犬のみが通行できると定められている。
犬の身の回りの物のvocabulaire（語彙）
collier (m)首輪
laisse (f)リード
gamelle(f) 餌用の皿
panier (m) 寝床 （籠という意味の単語ですが、大きな平たい籠を寝床にしている場合が多いため）
niche (f) 犬小屋
まとめ
あなたの犬にも日本語で「お手」のあとすぐにフランス語で「La patte.」と言って、日仏バイリンガル犬に育てるのも楽しいかもしれませんね。そして私たちもフランスに行ったとき、向こうで出会う犬たちに「犬のフランス語」が通じるかどうか試してみてはいかがでしょう。
執筆 ペレ信子
ブログ：Plaisir de Recevoir
インスタ：@granden25
