フランス干ばつ ついにパリでも節水呼びかけ

2022.08.05

フランス干ばつ パリでも節水呼びかけ

8月5日(金)、フランス全土で干ばつの影響による水不足が顕著になっています。地域によっては給水制限を行なっているところもあります。これまで特に問題がないとされていたパリ市も、今週より干ばつ「注意区域」に指定され、節水を呼びかけています。

 

規制なしも、パリ市民に節水の習慣を

6月末からの猛暑で晴天の日が続くパリ市では、今週からついに節水の呼びかけを開始しました。

その中で、まず第一に「日中に植物に水撒きをしないこと」、第二に「シャワーを浴びる際、体をボディシャンプーで洗っている間、お湯を流しっぱなしにせず蛇口をしめない。その後は素早く洗い流すこと」など、水を無駄にせず、注意して使うことを強く推奨しています。

パリ市の発表では、現時点ではパリ市内の飲料水の供給には問題がないとしており、一般市民や企業に対する制限やそれに伴う罰金などは検討されていませんが、「各々が責任を持って水を大事に使うように」と呼びかけています。

パリ市内の公園や緑地の水撒きは夜間のみになり、公園内の池の水の入れ替えや噴水などの水は本日より止められています。

公道の清掃のための水撒きや資材の洗浄なども停止しました。

パリ水道局の副局長エステル・デザルノ(Estelle Desarnaud)氏も、パリおよびパリ郊外、セーヌ=サン=ドニ県(Seine-Saint-Denis)、オ=ド=セーヌ県(Hauts-de-Seine)、ヴァル=ド=マルヌ県(Val-de-Marne)に関しては「飲料水の供給量は十分にあり、不足が懸念されるレベルではない」と述べています。

 

パリ市民、一人1日50リットル?の節水余地あり

パリ水道局によると、パリ市民は現在、1日一人当たり145リットルの水を消費しています。実はこの数字は1990年以降、年々減少傾向にあります。

デザルノ氏によると、今のところパリ水道局として住民一人当たりの水の使用量を減らす「数値目標はない」とのことですが、ヨーロッパの他の都市の例を見ると、北ヨーロッパの国では、少ないところで住民一人当たり90リットルで、パリ市にまだまだ節水の余地はあると同氏は指摘しています。

フランスの干ばつ警戒地域、節水コントロール強化

すでに今年5月ごろからすでに干ばつが深刻な地域では、農業、工業用水、個人宅などの水の使用に制限がかけられています。

フランス国内で、現在水の供給量を水道局側が制限する「給水制限」を行なっている自治体はごく一部で、ほとんどの地域で節水要請が行われており、違反すると1回目は1,500ユーロ(約204,000円/1ユーロ=136円)、2回目は3,000ユーロ(約408,000円)の罰金が科されます。

5月に500回ほどだったコントロールは、7月に入りフランス全国ですでに4,000回実施され、400件あまりの違反がありました。

ヴァランス市長、緑地の水撒き続け、非難轟々

しかしながら「深刻な干ばつ」地域に指定されている南西フランスのドローム県(Drôme)ヴァランス市(Valence)は、県からの節水要請を無視し、市長の指示で市内の緑地にスプリンクラーによる水撒きを続けた事が発覚し、非難されています。

市長のニコラ・ダラゴン(Nicolas Daragon)氏は、「緑地が枯れたら、次の世代にいよいよしわ寄せがいく」と、違反したことを後悔していないコメントをしました。

同氏はさらに「お隣のアルデーシュ(Ardèche)県がローヌ川(Rhône)やドローム川の水を使いすぎている」と非難しています。

水不足の問題は、地域間のいざこざにまで発展する可能生を秘めています。

執筆:マダム・カトウ

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