フランス 電動スクーターの使用規制を厳格化 14歳以上など

2023.03.29

3月29日(水)、フランスの全土で、電動スクーター等の使用に関する規制を強化することが発表されました。14歳以上、指定地域外での二人乗り禁止などのルールが新たに設けられる予定です。

 

電動スクーター等の使用規制

フランスのクレマン・ボーヌ(Clément Beaune)交通大臣は、20ミニュッツ誌(20 Minutes)に対して、公道における電動スクーターの使用に関する規制を発表しました。

ボーヌ大臣によれば、電動スクーターなどの使用に関する危険の啓発運動が今後行われます。政府だけでなく、警察、民間団体、専門家などと協力し、フランス全土でのこれらの手段の使用への意識を高める狙いです。

現在のところは、使用年齢を12歳から14歳に引き上げるほか、指定地域外での二人乗りに対する罰金が設けられる予定です。ヘルメットの着用は義務化されていません。

 

移動手段 百花繚乱

フランスでは2000年代から、さまざまな移動手段が開発されてきました。

この火付け役の一つは、パリ市で2007年7月に運用が開始された、自転車シェアリングサービスのヴェリブ(Vélib’)です。

個人的な交通手段のうち、自動車やオートバイなどよりも安価、軽重量であり、公共交通機関よりのように移動範囲が制限されていないことが人気を集めるきっかけとなりました。

その後は、電動一輪車(Gyroroues, monoroue), ホバーボード(hoverboards)、そして電動スクーター(trottinettes)と、移動手段は多様化しています。

交通事故の急増

しかし近年、上記の移動手段による交通事故が社会問題となっています。

上記の3種類の移動手段による死亡者数は、2019年に7名、2020年に10名、2021年に2024名、そして2022年に34名と急増しています。けが人数は2021年に2万人以上と発表されています。

とくに10代の青年の事故は、フランスで度々報じられており、法律による規制が主張されてきました。電動スクーターは「おもちゃ」ではなく、れっきとした「移動手段」であり、車やバイクと同じように規制を設けるべき、との考えによるものです。

法案も

2021年6月に死亡事故があったジュラ地方の議員、ダニエル・ブリュルボワ(Danielle Brulebois)氏は、2023年3月1日に以下のような法案を提出しています。
ーヘルメットの着用義務付け
ー上限スピードを毎時25キロメートルから毎時20キロメートルに引き下げ
ー使用の最小年齢を12歳から14歳に引き上げ
ー使用にかんする教習の実施

 

パリでの議論

パリ市では現在、電動スクーターのシェアリングサービスが活用されています。主にリム(Lime)、ドット(Dott)、ティエール(Tier)の3社が提供する、すでに1万5千台が市内で稼働しています。

使用年齢の平均は33歳と若者に人気で、85%がパリ市内の居住者と、ローカルのニーズに応えている移動手段となっています。

しかし他の地域と同じように、パリでも相次ぐ事故や、2人乗り禁止のルールを破る市民、そして乗り降りのステーションの乱れなどが問題化しています。

住民投票の争点に

当初は、自動車やバイクよりも環境負荷が少ないとして、急速に導入されたシェアリングサービスですが、一連の議論を受け、パリ市は3社との提携を2023年9月末に打ち切る予定です(※今回の政府による発表を受けて、3月末に打ち切られる可能性も浮上しています)。

2023年4月2日に行われるパリ市の住民投票では、電動スクーター等のシェアリングサービスを維持するか禁止するかどうかが、争点のひとつになる見通しです。

すでにパリ市では、電動スクーターのシェアリングサービスを利用する際に身分証明書をスキャンしなければならず、そこで年齢確認が行われています。今後は、個人番号の付与などを通して、シェアリングサービスの利用をより厳しく監視することも提案されています。

シェアリングサービスの提供元は、より長く使用できるバッテリーの開発や、乗り降りのステーションの整備などを進めていく予定です。

執筆あお

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