オミクロン株、フランスで9人確認

2021.12.03

オミクロン株、フランスで9人

12月1日、パリのシャルル・ド・ゴール空港の手荷物検査場風景(筆者撮影)

12月3日(金)、世界21カ国ですでに感染者が確認されているコロナウイルスのオミクロン株ですが、フランスでも現在までに9人の感染が確認されています。それに伴い、フランス政府は大量のゲノム解析を急いでいます。

 

フランス本土でオミクロン株確認

フランスにおける感染者第一号は、フランス海外県のレユニオン島(Réunion)で確認されていますが、昨日2日の政府発表によると、フランス本土で2名、そして本日新たに7名の陽性者が確認されています。

昨日確認された2名のうち1名はフランス東部、グラン・テスト地方(Grand Est)、パリ郊外のイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)在住者で、本日更に確認された7名は、オーベルニュ=ローヌ=アルプ地方(Auvergne-Rhône-Alpes)、プロヴァンス=アルプ=コートダジュール地方(Provence-Alpes-Côte d’Azur)、ロワール地方(Pays de la Loire)在住者です。

これらの感染者はこれまでの感染者と同様に自宅で自主隔離となり、保健局による濃厚接触者の洗い出しが行われ、うち重症化リスクの高い人に関しては自主隔離要請が行われます。

 

オミクロン株、主に南アなどアフリカからの帰国者

フランス北東部、オ=ラン県(Haut Rhin)に住む40代の女性は、11月26日南アフリカからの帰国時に受けたPCR検査で新型コロナ陽性であることが確認され、その後のゲノム解析でオミクロン株への感染が判明しました。

この女性は2回目のワクチン接種を7月に終えていましたが、フランスに帰着した時点で新型コロナ感染症状が出ており、また南アは内務省指定の「警戒地域」のうちの最高レベルに位置する「レッドゾーン」国であるため、到着時のPCR検査を受けています。

11月25日に同じく南アフリカ旅行から帰国した女性は、到着時の空港検査で陽性が判明し、オミクロン株への感染が確認されています。

ナイジェリアからの帰国者も

ナイジェリアから妻と帰国したイル=ド=フランス在住の50代男性もオミクロン株への感染が確認されています。妻も陽性が判明していますが、オミクロン株への感染は確認されていません。

ちなみにナイジェリア政府は、今のところ「オミクロン株の感染者が確認された」という発表をしておらず、この変異株に関しては国内での感染者が出ていない事になっています。

ワクチン未接種者の到着時PCR検査で発見

なお、フランスでこれまでに確認されたオミクロン株の感染者9名は、到着時に症状が出ていた女性を除き全員ワクチン未接種者でした。

なぜなら、11月25日の時点では、フランス入国の際、南アなど「レッドゾーン」からの入国者に対し、ワクチン未接種者のみを対象に到着空港でPCR検査が行われていたからです。

しかしながら、ナイジェリアなど、警戒度が1段階低い「オレンジゾーン」指定地域からの入国者に関しては、ワクチン未接種者であっても到着時の検査は必須ではなく、無作為に行われていたに過ぎません。

今回たまたま陽性でオミクロン株による感染が判明した男性は、検査時点では無症状でした。

 

フライト同乗者は全員濃厚接触者か?

現在確認されているオミクロン株感染者が乗っていた便のクルーや、座席が近かった同乗者に関して、フランス保健局は「濃厚接触者」としてその旨の連絡を行っています。しかしながら、同じ機内にいた「全員」が濃厚接触者に当たるかについての明確な基準は今のところありません。

現在ほとんどの新型コロナ感染源となっているデルタ株、そこからウイルスのスパイクと呼ばれる突起部分が32箇所で変異しているオミクロン株のへの感染確認は、通常行われる一回のPCR検査では不可能なことから、検査後に検体のゲノム解析が必要になります。

 

1日15000件のゲノム解析目指し、民間企業から入札

フランスの臨場検査ラボ大手のセルバ(Cerba)社は、陽性となった検体からオミクロン変異株を見つけるために、まずはデルタ株の変異およびその他3つの変異(E484K, E484Q, L452R)をハイスループットスクリーニングにかけます。

そこでどの変異も確認されなかった場合、南アの専門家が勧めるテルモ・フィッシャー(Thermo Fisher)社の装置による特別なPCR検査と検体のスクリーニングを行うと、オミクロン株の存在が判明します。

さらにゲノム解析を通して初めてオミクロン株であることが確認されるため、1つの検体検査に膨大な時間を要します。

政府は変異種確認のスピードアップを図るため、エメルジェン(Emer-Gen)協会と名付けた共同体を発足し、民間企業の協力を得るための入札を行いました。

その結果、10月末に前述のセルバ社やビオグループ(Biogroup)者など4社が落札し、公民挙げて1日15,000件の解析を目指していますが、フランスは第5波の感染が急拡大しているため、そちらの対応にも追われています。

執筆:マダム・カトウ

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