昨日21日、パリ郊外のバーで(筆者撮影)
6月22日(火)、昨年コロナ禍でキャンセルされた《フェット・ドゥ・ラ・ミュージック》(Fête de la musique :音楽祭)が昨日2年ぶりに開催されました。毎年6月21日に行われるこの音楽祭では、プロもアマチュアも関係なく、公道やカフェ、バーの店内などで音楽を演奏できますが、屋外でのマスク着用義務の解除と夜間外出禁止の解除と重なり、街中は多くの人出で賑わったため、ソーシャルディスタンスを守らないなどの問題も出ました。
音楽祭、公道での演奏許可、直前に決定
コロナ禍で今年も開催が危ぶまれていたフェット・ドゥ・ラ・ミュージックですが、5月末からの感染減少で開催が発表されました。
公道など屋外での演奏を聴きに無作為に人が集まるのを避けるため、当初は「カフェやバーなどの店内で入場者数を制限をして行う」と発表されていました。
しかしながら、フランスにおける新規感染者数の減少により、20日(日)からマスク着用義務の解除、昨日21日から夜間外出禁止が解除され、屋外での開催も許可されました。
パリセーヌ河岸、マスクなしで数千人が「密」
パリの中心地では、通りに数百人単位の密集が多発し、密になった人を散らすため警察が何度となく出動しています。
当初チュイルリー公園(Jardin des Tuileries)に集まっていた数千人の若者たちは警察に追い出されましたが、今度は徒歩でパリ市庁舎前の広場に移動し、最終的にはそこにも警察が来て解散させられました。
左岸のアンヴァリッド広場(Esplanade des Invalides)にはマスクなしで数千人の若者が集まり、1年半ぶりの自由を満喫していましたが、密集を避けるためここにも警察が出動しています。
ロックダウン解除後も、新型コロナ感染の再拡大を避けるため、現在も屋外での集まりは「10人以下」に限られています。
コンサートの開催も許可されましたが、屋外であっても着席のみで席同士の間隔を空けることが義務付けられています。しかしながら、公道での開催には「制限」する仕組みがなく、ほとんど守られていませんでした。
パリ市内では昨晩、出動した警察との小競り合いから暴徒化した25人が逮捕されています。
PARIS – Les quais de Seine sont pleins à craquer pour la #FeteDeLaMusique2021 : des milliers de personnes font la fête et profitent de la fin des restrictions sanitaires. https://t.co/JejNm5q4wt pic.twitter.com/AXWzYlgooH
— Clément Lanot (@ClementLanot) June 21, 2021
「楽しんでいる人々を見に来た」観客
開催は都市によって異なりましたが、一部の都市では雷雨のため中止された所もあります。また、ストラスブール市(Strasbourg)では、文化省の詳細決定が遅すぎて準備が間に合わなかったため開催が見送られました。
ブルターニュ地方、ブレスト市(Brest)で、小雨の降る中馬車に乗った音楽隊に観衆が集まっていました。
ローラ(Laure)は「人がたくさんいて、皆笑顔で楽しんでいるのを見るのは本当に気持ち良い」と2人の子供とお祭り気分を楽しんでいました。
南西フランス、トゥールーズ市(Toulouse)では、学生街に約250人の人だかりができていました。DJの音楽に合わせて踊る若者たちは、「感染なんて怖くない」「一生家に閉じこもってるなんて冗談じゃないわ」と久しぶりのコンサートを楽しんでいましたが、間も無く警察により解散させられました。
パリで仕事帰りに友達と街を散策中というフルヴィオ(Fulvio)は、「例年はもっとたくさんのバンドがそこら中で演奏していた」ので、それに比べると「今年は静かだと思う」としつつも、「人が沢山出て楽しんでいる雰囲気を味わいに来た」と述べています。
国民は「お祭り気分に酔いしれた」、文化相
文化大臣、ロズリンヌ・バシュロー(Roselyne Bachelot)氏は、今朝のメディアのインタビューで、「国民はお祭りの雰囲気に酔いしれていた」ため問題も少なからずあったが、ロックダウン解除が進み「タガが外れた」各自が今後責任を持って行動するように呼びかけました。
執筆:マダム・カトウ