8月19日(火)、コロナ禍で迎えた今年の夏休み。例年ならバカンスでいなくなった地元のフランス人と入れ替わるように外国人観光客がパリの街に溢れ、エッフェル塔など観光スポットは長蛇の列になりますが、今年は閑散としています。一方、地方のキャンプ場は、国境を隣接するヨーロッパ各国の観光客が車で訪れています。
ヨーロッパ人観光客頼みの夏、自主隔離導入でイギリス人帰国
コロナ禍で外国からの再入国に自主隔離を条件にしている国が多く、また長距離のフライトも激減していることから、今年の夏フランスを訪れる観光客は、こういった条件のないEU加盟国からがほとんどとなっています。
そんな中、イギリス政府は8月15日よりフランスからイギリスへの自国民を含む入国者全てに14日間の自主隔離を決定したため、すでに夏休みをフランスで過ごしていた英国人や在英フランス人が緊急帰国する事態となりました。
その結果、英国人観光客はほぼフランスから姿を消しています。
ディズニーランド・パリ頼み、再開の遅れで7月激減
例年ディズニーランド・パリを訪れる観光客で賑わう、パリ郊外セーヌ=エ=マルヌ(Seine-et-Marne)県のキャンプ場は、本来なら7月は150あるキャンプスペースはほぼ一杯になるはずでした。しかしながら、元々顧客の85%がディズニーランド目当ての外国人で、なおかつ同園の再開が7月15日と出遅れたことから、全体の35%しか埋まりせんでした。
キャンプ場のみならず、ディズニーランドに行くためパリを訪れる家族連れも多く、パリ市内の観光業にも大きく影響しています。
2019年にフランスを訪れた観光客は1700万人で、うち1350万人がヨーロッパの国々から、350万人がそれ以外の国からの訪問者でした。今年の7月は昨年の85%減となっています。
閑散としたパリの街、《今がチャンス》ガラガラの観光地を満喫
エッフェル塔(Tour Eiffel)が正面に見えることから、観光客で混み合うトロカデロ広場(Le Trocadéro)ですが、2週間前にパリを訪れた友人たちに「街はガラガラ、今がチャンス」と言われて来たというオランダ人夫婦は、誰にも邪魔されずゆっくりと写真を撮っています。二人はロックダウン後に市内のあちこちに出来た自転車専用ゾーンを利用して、パリ市内を自転車で観光しています。
マドリードから来たというスペイン人の女性は、「どこに行っても空いているので並ばなくていいし、エッフェル塔の写真も他の人が前に入らずに撮れる」と満足げに語っています。
一方、トロカデロ広場で観光客にエッフェル塔のキーホルダーや土産物を無許可で売るアフリカ系の若者達は、観光客の激減で時間を持て余しているようです。
エッフェル塔の入場者50%減
例年ならこの時期は月平均で23,000人訪れるエッフェル塔の観光客は、今年は11,000人と激減しています。訪問者の75%が外国人観光客でしたが、今年は26%にとどまっています。この夏の国籍別外国人観光客の割合は、ドイツ人、イギリス人、ベルギー人、デンマーク人が上位を占め、アメリカ人や中国人、日本人など遠方からの外国人観光客は皆無となりました。
地方のキャンプ場、隣接国の観光客で健闘
一方、フランス北西部に位置するブルターニュ地方のキャンプ場では、イギリス人は姿を消しましたが、オランダ人、ベルギー人、ドイツ人観光客のおかげで全体の6割程度が埋まっています。
また、ニース政府観光局(Office de tourisme de Nice)によると、南仏、コート・ダジュールでは「国境が隣接している国の観光客が増えて」おり、今年は車で訪れる北イタリアやスイスの人が増えています。
執筆:マダム・カトウ