8月11日(火)、昨日10日よりパリ市内の人通りの多い複数の公道でも、マスク着用が義務となりました。
パリおよび近郊の感染率、全国平均より5割多く
マルセイユ(Marseille)、トゥールーズ(Toulouse)、リール(Lille)、ニース(Nice)など、フランスの地方都市ではすでに導入されている「人通りの多い公道でのマスク着用義務」がパリ市内にも導入されました。
パリ市の発表によると、パリ市内を含むイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)の新型コロナウイルス感染率は2.4%とフランス全国平均1.6%より6ポイント上回っており、中でも20代〜30代の若者の感染者が増えていることから今回の導入に踏み切ったようです。
マスクの着用が義務になったのは「人混みで社会的距離を取ることが困難な公道」で、今回指定された場所には、飲み会をする若者で特に賑わうセーヌ川沿い、サンマルタン運河(Canal St Martin)河岸も含まれています。また、常設のマルシェや道端で開催される蚤の市などでも対象になりました。
まずは1ヶ月、指定場所増える可能性
今回の義務化は11歳以上が対象で、10日より1ヶ月続けられます。今後、指定される道や広場は追加されたり、期間も延長される可能性があります。
《パラシュートで降りても》マスク着用〜パリ県警
パリ市の発表直後から「マスクを着用しなくてはならないのは、歩行者だけか?」との問い合わせに、パリ県警は「指定された場所を通行する全ての人が対象」で、「自転車やスケートボード、キックボードなど如何なる交通手段を利用してもマスクを着用しなくてはならない」と回答しています。
ちなみに車は対象外ですが、オープンカーの場合はやはりマスクを着用しなくてはなりません。
県警は殺到するメディアの質問に辟易としたのか、回答の際に「パリ市内に着地するパラシュート部隊も対象」と「全ての人」が対象であることを強調しています。
違反した場合の罰金は135ユーロ(約16,875円/1ユーロ=約125円)で、対象外となるのは「障害があるためにマスクを着用できない人」と、「11歳未満の児童」のみになります。障害者は医者の証明書を所持していることが条件になります。
マスクでジョギングは健康に悪い?
対象地区に含まれるセーヌ河岸やサンマルタン運河河岸では、ジョギングやスポーツを楽しむ人も多く、市民の議論を巻き起こしています。
パリのスポーツクリニック、ドゥルオー(Drouot)の専門医はマスコミのインタビューに答え、「マスクをつけてスポーツをやっても、多少息苦しいと感じる以外特に健康に害はない」とコメントしていますが、WHO(Organisation mondiale de la santé)はホームページ上で「汗をかくとマスクが湿るため、呼吸がより困難になり、さらにバイ菌を繁殖させる原因になる」と、スポーツをする際のマスクの着用を推奨しないとしています。
最高気温35度の猛暑、SNSで不満の声
今回の導入に対するパリ市民の反応がSNS上を飛び交っています。
例えば、ツイッター上では、マスク着用義務に指定された通りがパリの北東部の庶民的な地区に多く、家賃の高い左岸や南西部に少ないことから、「バカンスに行くお金がない住民は、7区、8区、14区〜16区(富裕層の多い地区)に遊びに行くといい」や、「指定された道を車両禁止にすれば、社会的距離をとって歩ける」、「ありがとうパリ市、俺の遊びに行く場所ばかり!」のほか、「道の入口でマスクを配らないわけ?」など、各々不満を表明しています。
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執筆:マダム・カトウ