8月7日(金)、フランスとイタリアの国境に位置するヨーロッパアルプスの最高峰モンブラン(Mont-Blanc)は、今週の猛暑の影響でイタリア側の氷河から巨大な氷塊が崩壊する危険性が高まっています。そのため近隣住民や登山客70名が避難しました。
崩壊すると、サッカー場一杯分の氷水
アルプス3大北壁の一つ、グランド・ジョラス(Grandes Jorasses)山にあるプランパンシュー(Planpincieux)氷河で、約50万立方キロメートルの巨大な氷塊が崩壊する危険性が高まっています。
この氷河は、名峰ツェルマットとモンテローザ山に挟まれたイタリアの高級スキーリゾート、クールマイユール(Courmayeur)村から約12キロメートルの位置にあり、夏は登山やハイキング客で賑わいます。
ヴァッレダオスタ(フランス語ではVal d’Aoste)州の危機管理責任者、ヴァレリオ・セゴール(Valerio Segor)氏は「問題の氷塊はミラノの大聖堂一つぶんか、氷で一杯にしたサッカー場ぐらいの大きさ」で、もし崩壊すると「巨大な雪崩となって広範囲に被害をもたらすだろう」と危惧しています。
気温の高低交互に繰り返し、崩壊リスク大
クールマイユールの市長、ステファノ・ミゼロッキ(Stefano Miserocchi)氏は記者会見で「現在非常に危険な状態のため、72時間の緊急事態宣言を発出し近隣住民に避難命令を出した」と発表しました。
気候温暖化の影響で、プランパンシュー氷河はすでに年々後退していますが、昨年2019年の9月から10月にかけて、25万立体メートルの氷塊が崩壊の危機に晒されていました。そのため地元では監視体制を敷いていました。
昨年と今年の違いは、今週頭の気温は大変低く、その後一転して気温が28度前後まで急上昇したことです。この高温は今後3日間続く予報ですが、低温と高温の入れ替わりを繰り返すと氷塊は大変脆くなり、地元関係者は70時間以内に崩壊する可能性が高いと見ています。
執筆:マダム・カトウ