フランス外出禁止 5月11日より《段階的解除》どうなる? 

2020.04.14

フランス外出禁止5月10日まで延長

4月14日(火)、新型コロナウイルス感染拡大抑止のための外出禁止から約1か月が経過した13日夜、マクロン大統領はフランス国営テレビで演説を行い、外出禁止を5月10日まで延長すると発表し、翌11日より学校再開などを含め、段階的な解除をすることを明らかにしました。

 

幼稚園、小中高校再開に疑問の声

マクロン大統領は、5月11日よりまずは大学以外の学校を再開すると発表しました。

その理由として、3月中旬の学校閉鎖にともない、子供たちはフランスの遠隔授業センターCned (Centre national d’enseignement à distance)へアクセスして過去の授業の復習を自宅で行っていますが、パソコンやインターネットにアクセスできない子供がいることから、不平等を促す懸念があると述べました。

またもう一つの理由として、子供が家にいることで両親のどちらかは在宅する必要があるため、企業の再開にも支障が出ることを挙げています。

しかしながら、一部の感染症専門家の間では、子供はお互いに距離を置いたり手洗いを徹底することができないうえ、本人は感染しても無症状であることが多いため、結果ウイルスを家に持ち帰り感染拡大につながることから、学校再開に否定的な声も上がっています。

公衆衛生高等研究院(l’Ecole des hautes études en santé publique :EHESP)の疫学者パスカル・クレペイ(Pascal Crépey)氏は、「5月の再開から2週間もたてば早期再開の悪影響が判明するだろう」と警告しました。また、同氏はいずれにしても再開から7月開始の夏休みまで1か月半しかないことからも、「学校再開は9月の新学期からにするほうが現実的」と述べています。

 

5月11日から段階的な解除、高齢者を除く《年齢制限導入》が有力

大統領は昨日の演説の中で「段階的な解除」の具体的な内容については《現在検討中》として触れていませんが、唯一高齢者に関しては5月の外出禁止解除の対象外にすると述べています。

フランス公共衛生局(Santé Publique)の医師、マルタン・ブランシエール(Martin Blachier)氏は、「まず感染しても重症化しない若い層の外出禁止を解除し、次の段階で高齢者が外出するころには集団免疫が形成され感染が収束している」というのが《最良のシナリオ》で、「全員の感染テストには意味がない」と述べています。

大量の感染テスト、5月11日より可能?

大統領は5月11日以降、フランスは《感染の疑いのある症状がある人全員》および看護師などの医療関係者や重要な疾病のある人全員に検査を行う準備が出来ていると述べました。

大量検査に関しては、過去数週間にわたり血液による《簡易検査キット》が有力視されていますが、導入前に検査の正確性を上げること、また検査した人が抗体を作り出している等の確証を得ることができるかといった疑問点を解消する必要があります。

マスク着用を奨励

フランスでの不足が顕著なマスクに関しては、外出禁止解除時に「人との接触が多い職業や公共交通機関の利用者などに供給されるべき」とし、各自治体と協力してマスクの供給を進めていると発表されました。自治体によってはすでに住民にマスクを配給し、外出時の着用を義務付けています。

この1か月で国民全員にマスクを配るのは困難ですが、パリ、ボルドー(Bordeaux)、ニース(Nice)など人口の多い都市では、すべての住民に布製のマスクを配ると発表しています。

 

カフェやレストランの再開は未定、イベントは夏まで禁止、EU外の国境は閉鎖のまま

5月11日以降も、当面人の集まる場所であるカフェやレストランの営業は禁止されたままになります。イベントに関しては、少なくとも7月中旬までは禁止が決定しています。また、EU以外の国との国境は閉鎖されたままとなります。

パリ市は《免疫証明書》も検討

昨日の演説では取り上げられませんでしたが、ドイツなどで検討されている《免疫証明書》をパリ市なども検討していることが明らかになっています。すでに免疫を持っている人は、感染するリスクも感染させるリスクもないことから、外出禁止を完全解除しても問題ないとされています。

しかしながら、免疫が何か月間続くか専門家の間でも今のところ分かっておらず、また、証明書が雇用の不平等を生み出す恐れがあるため、導入のハードルは高そうです。

トラッキングアプリ

フランスでも韓国やシンガポールですでに導入されている《感染者トラッキングアプリ》が検討されていますが、マクロン大統領は「新型コロナウイルスが、国民の自由平等と民主主義を揺るがすものであってはならない」と、導入しても「匿名かつ、本人の自由意志による」など、個人情報の取り扱いに慎重な姿勢を見せました。

執筆:マダム・カトウ

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