2026年6月2日(火)、パリ市内交通でのクレジットカード利用がこの夏から徐々に可能になる、とパリ市内を含むイル=ド=フランスモビリテ(IDM)は、発表しました。まずは、バスから可能になり、続いて地下鉄や郊外列車(RER)などへの導入が徐々に行われます。一方、iPhoneアプリ、アップル・ウォレットへ直接のチャージは実質できなくなると、地元メディアは報道しています。
パリ、今夏からバスでクレカ乗車 メトロも年内対応へ?
昨年紙でできた従来型のチケットが廃止になり、現在パリ市内の交通機関を利用するには、ナビゴイージー(Passe Navigo Easy)と呼ばれるパスか、アプリをスマホにダウンロードしてチャージすることになっています。
観光やビジネスでの短期訪問なら、利用の都度1枚ずつチャージするか、一日券や1週間券などをチャージすることになります。
紙のチケットが廃止になってから、バスを利用する際、以前は可能だった運転手からのチケット購入ができなくなりました。そのため、事前にチケットをチャージしておく必要があるうえ、以前に購入した紙のチケットの使用もできません。
利用者多数のアップル・ウォレット、8月20日以降どうなる?
2024年のパリ五輪を前に利用が可能になり、現在、チケット販売数の約4分の1が、iPhoneに搭載されているアップル・ウォレットでチャージされています。
しかしながら、今後大幅な変更がない限り、8月20日より実質上アップル・ウォレットで直接チャージすることが不可能になります。
そもそもなぜ後戻り?首都圏交通統括のイル=ド=フランスモビリテ
パリ首都圏の公共交通機関は、「イル=ド=フランスモビリテ」(IDM:Île-de-France Mobilités)と呼ばれる公的機関により統括されています。
同機関が、パリ地下鉄(RATP)やフランス国鉄(SNCF)、鉄道・地下鉄・バス事業者に運行を委託し、運行スケジュールや運賃、定期やサービス内容を決定します。
ナヴィゴ(NAVIGO)は、RATPのアプリ「BONJOUR RATP」やSNCFの「Connect SNCF」でチャージすることが可能になっていますが、実はイル=ド=フランスモビリテはこの2社に販売手数料を払うことを拒否していました。さらに、メトロのチケットが割引料金で買える「リベルテ・プリュス」(LIBERTE+)という商品の販売も許可していません。
そのため、この2社は昨年、フランス運輸規制庁(ART)に「不利益を被っている」と申し立てをしたところ、フランスのモビリティ基本法(LOM:Loi d’orientation des mobilités)の規定に基づき、当初拒否されていた手数料を受け取る権利をRATPおよびSNCFに認めるようイル=ド=フランス・モビリテに命じました。
さらに、今後、交通乗車券を販売するさまざまなアプリ間で公正な競争環境を整備することになりました。
同庁はまた、Appleを交通事業者と同様の立場で活動する事業者とみなすべきであると判断しました。
アップルの独占に終止符、アップル・ウォレットでの利用は手間に
これについて、イル=ド=フランス・モビリテのぺクレス社長は、自身のSNSで「今後Appleは、各乗車券について販売事業者の一覧を提示しなければならなくなります。そして利用者は、販売事業者のアプリをダウンロードするためにApp Storeへ誘導され、必要に応じてアカウントを作成して乗車券を購入し、さらにApple Payを利用する代わりにクレジットカード情報を登録しなければなりません。その後ようやく、購入した乗車券をWalletに表示できるようになるのです。」と述べています。
一方、競争法の専門家であるピエール・ガルミッシュ氏は、地元紙の取材に答え、今回の決定によっ、「iPhoneの使いやすさが失われることにはならない。この決定は、AppleがNavigoパスの販売市場を独占・支配してしまうことを防ぐためのもの」と述べています。
つまり、ペクレス氏は「利用者の利便性が大きく損なわれる」と警告している一方で、競争法の観点からは「Appleによる市場支配を防ぎ、公正な競争を確保するための措置だ」と評価する意見もある、ということです。
夏までに交通関連法が改正されない限り、8月20日でアップルウォレットは実質使えなくなります。
出典:20minutes
執筆:マダム・カトウ












