フランス最低賃金、6月緊急引き上げへ 失業率増でも「危機的ではない」

2026.05.15

2026年5月15日(金)、フランス政府は6月1日より最低賃金(smic)の2.41%引き上げを発表しました。一方、失業率は5年ぶりの8%を超えと、労働市場の悪化が懸念されています。にもかかわらず、状況は「悲観的」ではないという意見を地元メディアが取り上げています。

 

消費物価上昇率2%を超えると「最低賃金アップ」が自動発令

フランスの最低賃金は、例年、議会の決議を経て1月1日に改定されます。改定の際には、インフレ率や物価上昇率が焦点となります。

2月後半に始まり現在も続くイラン戦争による原油高に伴い、消費物価は上昇を続け、5月13日時点で2%を超えてしまいました。

フランスの労働法が3231条第5項で定めるところによると、フランス国立統計経済研究所(インセ:INSEE)が発表する消費物価指数の上昇率が、前回の最低賃金が改定された時点から2%を超えた場合、最低賃金をその上昇率と同じだけ議会の承認なしで自動的に引き上げなければなりません。

引き上げは翌月1日に指定されているため、今年は6月1日から2.3%引き上げられ、現在の最低賃金は税引き前で時給12.02ユーロ(約2,223円/1ユーロ=約184円)ですが、改定後は12.31ユーロ(約2,265円)になります。

月々の税引き前手取り、34ユーロアップ

週35時間労働のフルタイムの場合、月給が現在の1,823.03ユーロ(約335,440円)から1,867.02ユーロ(約343,530円)と、43.99ユーロ(約8,094円)増えることになります。

税引き前の手取りは、現在の月額1,443.11ユーロ(約265,530円)から、34,82ユーロ(約6,400円)アップの1,477.93ユーロ(約271,940円)となります。

どうなる?最低賃金ではない人の給料

インフレ、消費者物価上昇に伴う賃上げの義務は、実は最低賃金以外の給料には反映されません。

業種別労働協定(convention collective)に定められている、企業により組合との協定がある場合を除き、法的な義務はありません。

業種別労働協定にて規定がある場合、インフレ率や物価の上昇が激しいなどの理由で「見直し」が含まれている場合がありますが、引き上げ率や時期に関しては規定がなく、ましてや「自動的な引き上げ」はありません。

 

失業率5年ぶりの8%超えも「危機的ではない」ワケ

インセの発表によると、今年第一四半期の失業率は前期2025年の第四四半期から0.2ポイント悪化の8.1%と、2021年以来初めて8%を超えました。

しかしながら、2010年から現在において、失業率のピークだった2015年の10.5%と比較すると2.4ポイントも低いことから、同局は「まだ非常に深刻な状況とまではいかない」、との見解を示しています。

労働人口の増加で就業率が「過去最高」の意味

地元メディアの取材によると、15歳から64歳までの人が職に就いている割合、つまり就業率は2025年第四四半期で69.4%と「歴史的高水準」、とフランス労働省統計局(Dares)は述べています。

失業率は上がっているため、一見矛盾しているように見えますが、その理由の一つとして、労働参加率(活動率)の上昇が挙げられます。

労働参加率とは、「実際に働いている人+失業中だが仕事を探している人」を意味しています。

昨年第四四半期の労働参加率は75.4%と「過去最高記録を更新」したと労働省統計局は発表しています。

つまり、より多くのフランス人が労働市場に戻る、あるいは新たに参入しているため、求職者数は増えているわけです。

仕事を探していない人、が大幅減

現在、フランスの失業者は260万人ですが、この中の180万人は就職を「希望している」が「探してはいない」ため、公的に失業者とみなされたくない人、さらに、子育て、家庭の事情、健康上やその他の理由で現在仕事に就くことが不可能な人が含まれています。インセの発表によると、昨年第四四半期にこのカテゴリーの人が62,000人減少しています。

人手不足の業界も採用状況が改善

建設業界、ロジスティック、再生エネルギー、病院や介護など、採用が困難で人手不足に陥っている業界の採用状況が、短期の研修などを通して人材を確保するなど改善傾向にあります。

出典:フランス労働省公式サイト、20minutes

執筆:マダム・カトウ

オンラインフランス語学校アンサンブルアンフランセは、プロの講師によるマンツーマンのスカイプレッスンが1回1500円~受講できます。いつでもどこでも手軽に受講できる利便性と生徒一人一人にカスタマイズされた質の高いレッスンが好評です。→フランス語無料スカイプ体験レッスンはこちら メールマガジンであなたのフランス語学習をサポートする情報をお届けします。フランス語メールレッスン

Classement