パリの学校給食、1万7000人が無料に 対象外は据え置き

2026.06.05

2026年6月5日(金)、今年パリ市長に就任したエマニュエル・グレゴワール(Emmanuel Grégoire)市長(社会党)は、パリ20区にある給食センターを訪れ、市長選での公約の一つだった、低所得家庭の子供約17,000人の学校給食代の無料化を発表した、と地元紙は報道しました。

 

パリの学校給食、所得で差 1食13サンチーム~7ユーロ

パリ市の場合、そもそも学校給食代は一律同料金ではなく、親の収入により10段階に分かれています。

無料化の対象になるのは、この所得層の下から2つの層になります。

現在、最も所得が高い層の子供は、1食あたり7ユーロ(約1,300円/1ユーロ=186円)、次に高い層で6ユ―ロ(約1,116円)、3番目の層は5.1ユーロ(約948円)、4番目が4.89ユーロ(約909円)を支払っています。パリの義務教育の学校は週4日終日授業、水曜日は半日になっています。そのため給食は最低でも週4日となります。

つまり、最も所得が高い層は、1ヵ月を4週間で計算した場合、月々約112ユーロ(約20,830円)を支払っています。この層は全体の9%にあたり、高所得層の上位3位は合計で全体の24%を占めています。

無料化層、全体の13%

一方、最も低い層は一食あたり0.13ユーロ(約24円)、2番目に低い層は0.85(約158円)、それぞれ月々約2.08(約386円)~14ユーロ(約2600円)しか払わなくて良い仕組みになっています。

今回無料化の対象となった下位2つの層を合わせると、全体の13%となります。

一食1.62ユーロ(約300円)(11%)を払っているすぐ上の層は無料化対象外です。

ちなみに、数が最も多い中間層は1食2.28ユーロ(約424円)(22%)、3.62ユーロ(約673円)(11%)、4.61ユーロ(約857円)で、この層は全体の43%を占めています。

総費用120万ユーロも、請求処理負担は削減に

今回17,000人分の給食、年間にして約250万食の無料提供にかかる費用は120万ユーロ(約2億2300万円)と、パリ市の担当部局は推定しています。

インフレで生活費がグングン上がる中、世帯よっては年間10ユーロの節約ができるよう配慮したことには違いありませんが、同局は「ごくわずかな金額のおびただしい数の請求書、さらにこれらの中には滞納も多く、未払いの催促などに大変な手間がかかる」ことも無料化の動機の一つと説明しています。

下位2層が費用負担の対象外になったことで、負担する所得層は8段階に減りました。

 

パリ学校給食、費用大幅増でも今年も据え置き

給食代の実費は、1食あたり13ユーロ(約2118円)で、最も高所得の層が払っている7ユーロの実に2倍近くになります。言い換えると、パリ市は最も裕福な家庭の子供の給食代を45%肩代わりしているのです。

これに関し、左派社会党のグレゴワール市長は、「公共サービスはすべての人に恩恵があるべきだ」と説明しています。

20区の給食センターを訪れた市長は、今回の無料化の恩恵にあずかる子供が最も多いのは20区で、この区の11,500人の学童のうち1,700人が対象になると発表しています。

大赤字の学校給食、パリ市が補填

現在までパリ市の子供のいる家庭の71%が、一食5ユーロ(約930円)以下の給食費を払ってきましたが、実際の費用は光熱費や人件費、材料費の高騰でどんどん上がっています。しかしながら、家庭への負担額の請求は過去14年間据え置きのままになっています。

多くの学校は赤字で、区ではその差額をカバーできないため、パリ市が不足分を補足しています。もしインフレによる上昇分などを給食代に転嫁した場合、「年間トータル4,000万(約74憶4600万円)から5,000万ユーロ(約93億円)の値上げが必要になるだろう」と市長は述べています。

出典:Le Parisien

執筆:マダム・カトウ

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