2026年6月10日(火)、フランス国鉄(SNCF)組合は明日11日、2年ぶりの大規模ストを決行します。高速鉄道TGV、アンテルシテ(Intercités:都市間の在来線特急列車)他、TER(地域圏急行輸送)などのローカル線、パリ及び近郊ではRER(高速郊外地下鉄)などが間引き運転になります。主な争点は、インフレによる物価高に見合うベースアップの要求ですが、もう一つは、地方路線の競争入札に向けた子会社への職員の移籍、それに伴う労働条件の悪化などに反対している、と地元メディアは報道しています。ストは本日17時から明日の17時までの24時間と発表されています。
TGVは3本に2本、アンテルシテは2本に1本が運行
今日の夕方から明日にかけて、TGVの30%、アンテルシテは50%がキャンセルとなります。地方を走るTER、パリと郊外を結ぶRERはかなりの間引きが予想されるため、十分な注意が必要です。
パリ市内の地下鉄RATPは今回のストには関与していませんが、遅延など運行に乱れが生じる可能性もあります。
SNCFによると、TGVに関しては空席が十分にあるため、予定の便がキャンセルになっても何かしらの便で移動することが可能だと発表しています。
キャンセル対象の便の利用者は、無料でキャンセルするか別の便、日程に変更が可能です。くわしくはこちら
フランス国鉄、地方路線を地域圏別に「分社化」したい理由
フランス国鉄の独占市場が開放され、他社との競争にさらされるようになって5年が経ち、フランス国内の民間企業やイタリアやスペイン国鉄の参入が徐々に進んでいます。これに関しては、法律が可決するまで組合は反対を表明し、過去に多数の大規模ストが行われていますが、今回のストは新規参入路線への反対ではありません。
地方路線、コスト削減に競争入札
今回、組合側が問題視しているのは、SNCFが地域圏の入札に応じるために設立した、もしくは設立を進めている多数の子会社化です。地域圏(région)とは、日本の地方に似た広域自治体のことです。日本との違いは、単なる地理区分ではなく、議会や予算を持つ自治体を示しています。
これらの地域圏は、自らの地域の公共交通をさらに充実させるため、列車の運行本数を増やしたい一方、自治体の補助金など費用負担を削減することも求めています。そのため、これらの運行業務に競争入札を実施しているのです。
子会社へ職員移籍、15カ月間だけ従来の労働条件維持
地域圏ごとに子会社が設立されると、SNCFの一部の職員は移籍を強いられることになります。同社は移籍に際し、最初の15カ月間は「現在の待遇を維持する」と約束しています。
しかしながら、この移籍に関してはさまざまな懸念が伴います。
特に、労働時間の管理や勤務体制は、地域ごとの事情に合わせる必要があるからです。
組合側は、結局のところ競争に伴う「組織の再編の犠牲になるのは自分たちだけ」、と組織改革のコストを負担させられることを拒否しています。
地域圏財政に入札制に意味はあるのか?組合側
2024年の法改正では、地方自治体はすべての新規契約に入札制が義務化され、それに伴う職員の移管も可能になっています。組合側は、市場開放による入札制で本当に「競合が行われている」とは言えないとの見解を示しています。
なぜなら、地域圏が実施する入札でSNCFが対峙する競合相手は、多くの場合パリ地下鉄の子会社RATP Devといった、別の公的企業であったりするからです。
SNCFの社長はつい最近交代し、新社長は元首相のジャン・カステックス(Jean Castex)氏ですが、就任以来初の大規模ストに「組合から試されている」と地元紙は報道しています。同市はマクロン大統領1期目における2人目の首相を務めています。退任後、パリ地下鉄公団の社長などを務め、組合との対立を緩和する手腕で知られています。
出典:France Info
執筆:マダム・カトウ












