1月10日(金)、12月5日のフランス国鉄、パリ地下鉄スト開始からすでに37日目が経過、移動の足を奪われたパリ市民およびパリ郊外の住民に、長期化による疲れが見受けられます。
パリ地下鉄、410万人の利用者に稼働わずか
現在パリ地下鉄は、自動運転の2路線が平常通り、それ以外の14路線が朝夕の通勤時間帯のみ2~3本に1本の間引き運転で運行され、またパリ近郊と市内を結ぶRER(イル=ド=フランス地域圏急行鉄道網)も同様に大幅な減便が続いています。さらに人員不足や過剰な混雑への警戒から、多くの駅が閉鎖されています。
その為、一日約410万人もの利用者の多くは、別の移動手段をとることを余儀なくされています。
溢れるバス、徒歩、自転車、キックボード・・・シェアーカー利用者5倍に
バスは現在通常運行していますが、バス停には乗れない人で溢れています。それによりパリ市内の移動手段は自転車、徒歩、キックボード、自家用車、またはタクシーです。
渋滞が激しいためタクシーの利用客は大幅に増えていませんが、一方、「シェアーカー」の利用者は平常時の5倍に増えています。
ストは支持するけど…市民に疲れ
パリの東約17キロのフォントネー=スー=ボア(Fontenay-sous-Bois)に住むマジョレーヌ(Marjolaine)さんは、「自転車を買って毎日パリに通勤してます。疲れるけど来もしない電車をまっているよりいい」と語っています。
パリ市内に住むエルワン(Erwan)さんは、「動いている路線を利用するのに通勤時間が通常より30分増えた」為、「通常より早く家をでて就業時間より早く帰り、その分を家でテレワーク」しています。
「年金改革への反対ストは支持してるけど、毎日本当にくたくたで厭になる」と語るセヴリンヌ(Séverine)さんのように、ストへの支持は依然高いものの、長期にわたり不自由な生活を強いられ、市民に疲れが見受けられます。
駅は人の海、妊婦には過酷
クリスマス休暇で不在だったオリバーさんは、「休暇で息抜きできたが、相変わらず駅のホームの人の海は恐ろしい光景だ。映画《皇帝ペンギンの行進》(La Marche de l’empereur)を思い浮かべる」と、通勤がストレスになっています。
妊娠中のため徒歩や自転車が困難なプリスカ(Prisca)さんは、「スト開始から1ヶ月間、地下鉄が全く運行していない路線沿線に住んでいるためタクシー代がかさんでいます。バスは皆、我先に乗ろうと押してくるので、怖くて妊婦には無理です」と、ストが大きな負担になっていることを語っています。
市民を苦しめても意味ない?
ストで多くの人がストレスを溜めている中、「歩いたり自転車にのったりして健康的になった」為、《スト歓迎》というパトリック(Patrick)さんは、ストへの支持を表明する一方、「交通ストで一般市民を苦しめても政府は平気、組合も苦しめる相手を間違えてるんじゃないかな?」と、ストの《効果》に疑問の声を上げています。
執筆:マダム・カトウ