学校や教育は、子供が人格形成する場として大切な役割を担っています。フランスの子供たちはどういう教育システム受けて育っていくのでしょうか？今回は、フランスの学校と教育をテーマにレポートいたします。
ゆったり教育で育むフランスの幼稚園と小中学校
各学校、担任の先生によって差はあるものの、フランスでは幼稚園、小学校、中学校まではゆったりとしたカリキュラムが組まれていることが多いです。では、フランスの幼稚園、小中学校の特徴を挙げていきます。
・幼稚園…午後の頭にお昼寝の時間が設けられ、終わりは16時半と長い
・小学校…朝、先生が必ず校門で出迎えてくれて、校庭で集合したあと校舎に入る
・中学校…時間割によって、曜日ごとに始業時間と終業時間が異なる
また、フランスの小中高は昼食を学校給食にするか、自宅に戻って食べるかを選ぶことができます。お弁当持参の学校もありますが少数のようです。ここにも日本との違いがあっておもしろいですね。
フランスの学校はこんなに休みが多い！
バカンスを大切にするお国柄か、フランスの学校では９月に新学期スタートして年度が終わる７月上旬までに、こんなにお休みがあるのです。６週間ごとに休みが２週間あり、夏休みは２か月間あります！
-秋休み
-クリスマス休み
-スキー休み
-春休み
-夏休み
子供が低学年の頃は、それまで勉強したことを夏休み中にかなり忘れてしまうという事態が起こることも！夏休みの自己学習用に市販のドリルも販売されていますが、分厚い本は少なく、「休みはしっかり休む」というポリシーすら感じます。
進路はどうする？義務教育後のシステム
フランスでも、中学３年生になると進路について担任の先生と話し合いがもたれます。スポーツが得意な生徒はそれに適した学校、技術系に進みたい場合は技術系高校へ進学しています。調理関係の学校も人気です。まだはっきりと決まっていな場合は、普通科の高校を選ぶのが一般的です。
高校生になると勉強量がぐっと増えるため、週末も部屋にこもって宿題や復習に追われるようになります。技術系の学校に行くと、研修と授業という２本柱で忙しく過ぎていくようです。
フランスでは家庭教師のシステムはありますが、学習塾はないため自力で勉強していくパターンになります。日本では学校の後に学習塾に行く子どももいるという話をしたら、フランス人の友人は「学校の後にまた学校？」と驚いていました。
バカロレアとは？フランスの高等教育のシステム
バカロレアとは高校卒業試験のことをさしています。受かると高校卒業資格を得られます。フランスでは、略してバック ( BAC ) と呼ばれています。高校に進学した生徒は、最終学年にBACの試験に受かることがとても重要で、毎年ニュースになるほど。
ここからどのような進路に進むかはさまざまなパターンがあります。総合大学、技術短期大学、ビジネススクール、専門学校、そしてレベルが高いといわれるグランドゼコール ( grandes écoles ) など選択肢は多岐にわたります。
どこに進むにしても、フランスではバカロレアから何年勉強したかが仕事探しの目安にされます。例を挙げてみましょう。
例）
BAC+２ バカロレアから２年勉強したことを指す
BAC+５ バカロレアから５年勉強したことを指す
医者になるためには、BAC＋９と言われています。自分の希望で２年で辞めることも可能ですし、そのまま続けることも選択できます。
働きながら学べる！新たな教育システムが人気
仕事をしながら学業を続けるデュアルシステムが、フランスの若者に支持されています。フランスでは交替を意味するalternance (アルテルナーンス)と呼ばれ、契約を結んだ企業で働きながら、学校で勉強もできるシステムです。さらに授業料は実質無料という大きなメリットがあります。
この制度が使える学校を見つけて働きたい企業と契約が成立すれば、現場で経験を身に着けながら、理論的なことは実質無料で学校で学ぶことができるのです。
学校により違いはありますが、１週間学校に通った後、３週間雇用先で仕事をするというサイクルを交替でおこないます。
私の銀行の担当者は、ビジネススクールでこのシステムを利用して、卒業後そのまま同じ会社に就職したと話していました。
まとめ
「 日本に比べると勉強してないな、フランスは！」などと思っていた私の考えを変えたのは、難関校のグランドゼコールに通う甥っ子の勉強時間です。日本の受験生と同等、それより勉強してる？というぐらい常に勉強。同じタイプの学校を卒業した義妹は「あの時代の数年間は、自分の人生なんて１ミリもないくらい勉強した。」と言っていました。バカンスが多いとはいえ一概にゆとり教育とは言えないフランスの教育事情。また別の機会にレポートしたいと思います。
執筆
YUKO
