パリには多くの歴史的建造物、そして美術館があります。地方に行ってもお城や有名画家の美術館などがあり、芸術が身近に感じられるのがフランスの魅力といえるでしょう。フランスでは、芸術を国民に楽しんでもらうための政策を出しています。今回は、若者にアートを身近に楽しんでもらおうという趣旨で作られた文化芸術支援プログラムについて、そしてフランスの文化に対する取り組みを紹介します。フランスがどれほど文化芸術を大切にしているのかを実感していただけると思います。
若者向けの文化活動支援プログラムとは?
フランスでは若者に向けた文化活動の支援として “pass Culture” (カルチャーパス)というものを配布しています。これは、15歳~18歳のフランス在住の若者を対象に、文化芸術活動を支援するための助成金です。フランス国籍がない場合、フランスに1年以上滞在している若者であれば受け取ることが可能です。太っ腹なキャンペーンですね!
カルチャーパスの助成金の額は?
・15歳 20ユーロ
・16歳、17歳 30ユーロ
・18歳 300ユーロ
使用期限は、申し込みをしてアカウントが使用可能になってから、24カ月となっています。
カルチャーパスはどんなことに使える?
本やDVDの購入、コンサート、お芝居、映画、楽器などの購入、オンラインレッスンなど文化活動に関するものの支払いに使えます。
カルチャーパスの使い方
申し込み後、専用アプリをインストールするのが原則です。アプリに助成金が示されており、アプリ経由で購入をすることが可能です。フランスで大人気の漫画も対象になっており、かなり幅広く使えます。
ただし、本や楽器など、モノを購入する場合は自宅に郵送はできません。お店に受け取りに行く必要があります。文化に関わる人たちとの交流もとても重要で、これもカルチャーパスの一環と捉えられています。
カルチャーパスどんなふうに使った?
私の娘はカルチャーパスの300ユーロをこのように使いました。
・妹に欲しがっていた本をプレゼント
・勉強に必要な本を自分用に購入
・音楽フェスティバルに参加
各自、さまざまな使い方がありますが、カルチャーパスの援助に満足しているという声を多く聞きます。
毎月第一日曜日は、多くの美術館が無料に!
毎月第一日曜日には、多くの美術館が無料で入館できます。フランスに詳しい方なら、すでに利用された方もいるかもしれません。若者だけでなく、誰でも平等に使うことができる素晴らしいシステムです。
フランスの美術館は広くてコレクション数も多いので、全てじっくり見ようとするとかなりの時間とエネルギーが必要です。でも、無料の日があるお陰で同じ美術館にリピートでき、自分のお気に入りの絵画だけじっくり観賞することも可能なのです。
無料開放の日は普段より混雑する場合が多いので、観たいものをあらかじめ決めておき、早めの時間帯に行ったほうがいいかもしれません。
ブーム到来?自宅でのプライベートコンサート
個人レベルでも、気軽に芸術に触れることができるのがフランスです。大きなリビング、音楽ルームを所有している人が、そのスペースを開放してミニコンサートを開催していたりします。私も何回か、そのようなプライベートコンサートに行く機会がありました。演奏を近くで聞けるなんてとても贅沢な時間でした。
コンサートの後に、軽い軽食とドリンクでアーティストと交流したりすることもありました。多くの場合、入場料などは設定しておらず、設置してあるボックスに各自の気持ちを入れるというやり方です。
最近は、このようなプライベートコンサートが流行っているようです。大々的に宣伝はしないものの、知り合いからお誘いがきたりするので、家庭的な雰囲気のホームコンサートになります。
まとめ
小学生の社会科見学では、美術館へ行くのがフランスの定番です。フランス人にとって芸術や文化はとっつきにくいものではなく、日常生活と共にあります。小さいころから芸術や文化に触れる土壌があるフランスでは、心を豊かにしてくれる文化に対して積極的な取り組みをしているといえるでしょう。
執筆
YUKO