2023年4月14日(金)、5月17日〜27日に開催される第76回カンヌ国際映画祭(Festival de Cannes)の公式セレクションが発表されました。最高賞「パルム・ドール」のコンペティションにノミネートされた19作品中、女性監督によるものが6作品と、本映画祭始まって以来の最多となりました。
フランス映画3作が最高賞にノミネート、うち2名が女性監督
今年のパルム・ドール最高賞候補にノミネートされた19作品中、フランス映画は3作、うち2作が女性監督によるものです。
カトリーヌ・ブレイア監督の『作夏(仮題)』(L’Eté dernier)
74歳のベテラン、ブレイア(Catherine Breillat)氏は、過去9年間監督業から離れていましたが、本作品のプロデューサーに頼まれ今回の作品でカムバックしています。
レア・ドルッカー(Léa Drucker)演じるアンヌは、虐待に遭った少年の裁判を受け持つ優秀な弁護士で、オリヴィエ・ランブルダン(Olivier Rabourdin)演じる夫と2人の娘と幸せな家庭を築いていました。ある日夫と前妻との間にできた、反抗的な息子テオが同居することになり、家庭内のバランスが崩れていくという、サスペンスドラマです。
ジュスティーヌ・トリエ監督の『アナトミー・オブ・ア・フォール』 (Anatomie d’une chute)
ジュスティーヌ・トリエ(Justine Triet)監督は、11歳の盲目の少年が家の近くで死亡、まもなく母親が容疑者として逮捕され、1年後の裁判で他殺か自殺か?という真相が明らかになっていくという、サスペンスドラマでノミネートされました。
トラン・アン・ユン監督の『ポトフ(仮題)』
12歳でベトナム戦争を逃れてフランスに移住し、現在60歳の監督トラン(Trần Anh Hùng)氏は、『ドダン・ブファンの情熱』(原題:La Passion de Dodin Bouffant)でノミネートされました。
英語ではフランスの伝統料理『ポトフ』(The Pot au Feu)と名付けられたこの映画は、19世紀のガストロノミーをテーマに、ジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)が演じる料理人とブノワ・マジメル(Benoît Magimel)が演じる美食家とのロマンスを描いた作品です。
フランス人以外の4女性監督
「パルム・ドール」候補にノミネートされた残りの4名の女性たちは、ラマタ=トゥレー・シィ(Ramata-Toulaye Sy)監督(セネガル)、カウテールベンハニア( Kaouther Ben Hania)監督(チュニジア)、アリーチェ・ロルヴァケル(Alice Rohrwacher)監督(イタリア)、『クラブ・ゼロ』のジェシカ・ハウスナー(Jessica Hausner)監督(オーストリア)の4名です。
カンヌ映画祭、初の女性プレジデント、ノブロック 氏
昨日のノミネート作品の発表は、昨年就任したばかりの映画祭初の女性プレジデント、イリス・ノブロック (Iris Knobloch)氏によって行われました。
ドイツ人の同氏は、ワーナーメディアの代表取締役をつとめていました。
女性の活躍が目覚ましい、今年のカンヌ映画祭を象徴するかのようです。
執筆:マダム・カトウ