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2023年4月11日(火)、フランス大衆文学の古豪、アレクサンドル・デュマ(Alexandre Dumas)の名作『三銃士』がまたまた映画化され、マルタン・ブルブロン(Martin Bourboulon)監督の新作『三銃士、ダルタニアン』(仮題)(”Les Trois Mousquetaires : D’Artagnan”)として5日に公開されました。ダルタニアン役は、注目の若手俳優フランソワ・シヴィル(Francois Civil)が演じます。
最初の映画化から80年、今年最も期待の新作
「最高のスープは古い鍋で作られる」(”C’est dans les vieux pots qu’on fait les meilleures soupes.”)というフランスのことわざがありますが、デュマの作品はまさにこの古い鍋であることは間違いないでしょう。
今月5日、デュマの名作『三銃士』が原作の、約150本目の映画がフランスで公開されました。
巨額の制作費、豪華キャスト
7,200万ユーロ(約104億5000万円/1ユーロ=145円)という、フランス映画としては巨額の制作費をかけ、フランス映画界の人気俳優を登用し、豪華キャストで撮影されました。
主役のダルタニアン役には「ラブ・セカンド・サイトはじまりは初恋のおわりから」で主演をつとめたフランソワ・シヴィル、アトス(Athos)役には数々のハリウッド映画にも出演する、ベテラン俳優のヴァンサン・カッセル(Vincent Cassel)、アラミス(Aramis)役にロマン・デュリス(Romain Duris)、ミレディ役に2006年の007カジノロワイヤルでボンドガールに抜擢され一躍有名になったエヴァ・グリーン(Eva Green)が起用されました。
ダルタニアン役、欲しさのあまり
主役に抜擢されたフランソワ・シヴィルは、憧れの役欲しさに「ダルタニアン風の髪型にヒゲを生やし、おばあちゃんの家の庭で彼になりきった」とオーディション前を振り返っています。
アレクサンドル・デュマの作品、映画、テレビに646本
「アレクサンドル・デュマのすべて(もしくは、ほぼ全て)」(Tout sur Alexandre Dumas (ou presque) の作者、ベルトランヴァラン(Bertrand Varin)氏が調べたところ、映画およびテレビが発明されてから世に出たデュマ原作の作品は実に646本に上り、うち4分の1以上が「三銃士」でした。
1844年の「三銃士」、友情、名誉、愛、時代を超える普遍的テーマ
2021年にリリースされたアニメ、ダルタニアンと三銃士のストーリボーダーでスペイン人のパコ・サエズ(Paco Saez)氏は、「( 三銃士は)1625 年に世界のどこかの国を舞台にしたストーリーですが、友情や名誉、愛といったテーマで、誰もが理解できる」こと、これが作品の最大の糧だとコメントしています。
少年たちの夢、アクションと冒険
俳優オーランド・ブルームがバッキンガム公(duc de Buckingham)を演じ、ミレディがカンフーの名手、空飛ぶ船など、奇抜な演出で話題になった2011年のハリウッド映画「三銃士」の最初のスクリプトを書いたアンドリュー・デイヴィス(Andrew Davies)氏は、デュマの人気について「何と言っても少年たちが夢見るアクションと冒険」と語っています。
また、そこがトルストイの「戦争と平和」、ジェーン・オースティンの「自負と偏見」といった、やはり数多くの映画化された他の作品との違いだと主張しています。
その証拠に?「三銃士」はアニメ化もされています。
映画のDNAを大事に、監督
ブルブロン監督は、何度も映画化されたこの大作の制作にあたり「観客をがっかりさせない」という使命感を持ちつつもどこまで独自の味を出せるかに執心したと言います。
そのために「映画のDNAに敬意をはらい、強みを生かした」とコメントしています。
4月5日に公開されたのは二部作のうち第一部で、12月に第二部の公開が予定されています。入場者数によっては第三部もあるのでは、とすでにメディアでは騒がれています。
執筆:マダム・カトウ