フランスのZ世代が「ワイン離れ」で業界あの手この手

2023.04.18

フランスのZ世代、「ワイン離れ」で業界あのてこのて

2023年4月18日(火)、「エコロ」(écologique からくる: 環境に関心が高い人のこと)で政治や社会への関心が高く、「ヘルシー」なフランスの“Z世代”が今、ワイン業界を震撼させています。2000年生まれで今20代のこの世代は、フランスの伝統的なお酒である「ワイン」にそっぽを向けているようです。なんとか彼らを振り向かせようと業界は躍起になっています。

 

ワインの消費量、過去60年間で70%減

「このままいくと次の10年間で5人に一人が職を失う」と、フランスの原産地呼称委員会(Comité national des vins d’appellation contrôlée)は、年々減りゆくフランスにおけるワインの消費量に、ワイン生産者の将来を危惧しています。

ワインよりビール、ビールよりカクテル

過去11年間アルコール飲料の購買動向を調べる広告会社Sowine社によると、18歳から25歳の若者は「ワインとビールのどちらを好むか?」の質問に、半数以上が「ビール」と答えています。

さらに、最も好むアルコール飲料は「カクテル」と48%の人が答えています。

アルコール離れで酒税減、「国をあげて」若者の飲酒を奨励する日本

Z世代のアルコール離れに危機感を感じた日本では「奇妙な」対策が取られています。

アルコール飲料の広告には必ず「お酒の飲み過ぎは健康を害します」という文面が記載され、お酒のTV宣伝が禁止されるフランスでは「あり得ない!」ことですが、日本では過去40年間、アルコール飲料の消費減で年々酒税収入が減ったことから、国税庁が「若者の飲酒を奨励するためのコンクール」を開催しています。

 

フランスのZ世代ってどんな若者?

フランスでは日本ほど過激な対策は取られていませんが、リサーチ会社や広告会社などが協力して2000年以降に生まれた「Z世代とはなんぞや?」というプロフィールを作り上げました。

その結果、Z世代はSNSで「めちゃめちゃ繋がって」おり、だいたい1日4〜6時間をSNSに費やしています。彼らは「ゲーマー」で、この世代の90%はビデオゲームをやり、うち30%は毎日プレイしています。

とはいえ、Z世代は「めちゃめちゃ環境コンシャス」、つまり環境問題に大変敏感です。

やっぱりインスタ

SNSの中でも、インスタグラムが急激に成果を挙げており、32%のユーザーがワイン醸造所であるドメーヌ(domaines)や、シャトー(châteaux)、ワイン生産者やブランドなどのいずれかをフォローしています。

大手の醸造所、ロシェ・マゼ(Roche Mazet)、シャトーラフィット(Château Lafitte)や シャトー・ムートン・ロスチャイルド(Château Mouton Rothschild)などは皆アカウントを持っています。

昨年6月、フランスの大手新聞社のワイン版「フィガロ・ワイン」(Figaro Vin)は「シャンパン、スター・トップ50」と称して、シャンパンメーカーによる過去40投稿で最もエンゲージメント(ライク)の多いブランド上位50社を発表しています。

その結果、上位を占めたのはテタンジェ(Taittinger)、モエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)や 、フランス最初のシャンパン醸造所ルイナール(Ruinart)といった有名なブランドでしたが、ジャック・セロス(Jaques Selosse)、ラエルトフレール(Laherte Frères)といった「知る人ぞ知る」ブランドも登場しています。

やはり有名ブランド、ボランジェ(Bollinger)はTik Tokを使って特級シャンパンを発表しています。

 

ポッドキャストにストーリー、「宣伝なし」で若者引きつけ

ボルドーのサン=テステフ(Saint-Estèphe)で特級酒を作るシャトー、コス・ドゥ・エストゥルネル(Cos de Estourel)は、全く斬新で間接的な広告手法を取っています。

キャミール(Camille)という若い女性が、突然いなくなった彼ジュリアン(Julien)を探しに、このシャトーに出かけるという冒険ストーリー『マハラジャの足跡を辿って(Sur la piste de Maharaja)』をポッドキャストで発信しています。

昨年11月にリリースされたこのストーリーはすでに11,000回も再生されています。

 

缶ワイン、紙パック、面白い名称や可愛いパッケージ

環境やビオに関心が高いZ世代を取り込もうと、ナチュラルワインなど「自然派」ワインが市場でひしめいています。

中身だけでなく、名称やパッケージにもこだわりのある彼らの気をひこうとするあまり、「スノッブは飲むな」”Interdit aux snobs”や、甘口白ワインの「エンジェルのおしっこ」(”Pipi d’Ange”)や、「クソワイン」(”Vin de Merde”)など、「超」過激なタイトルも見受けられます。

長い間瓶入りしかなかったワインですが、缶ワインやパックワインなど、手軽に飲めるパッケージへの取り組みは10年ぐらい前からフランスでも行われていました。しかし普及には至っていませんでした。

ブロガーでVins de Vicky創業者の孫娘 アンヌ =ヴィクトワール(Anne-Victoire)さんは、軽くてちょっと冷やして飲むワインが缶ワインに向いていると、自らも缶ワインの普及に力を入れています。

執筆:マダム・カトウ

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