「パリが恋しい」外国人観光客が戻ったパリ

2022.05.03

パリに戻った外国人観光客

5月3日(火)、パリの外国人観光客の数は「ほぼコロナ禍前まで回復しつつある」。パリ観光局が最近発表した数字によると、今年7月のヨーロッパ人観光客の数は2019年を超える見通しです。

 

消えた外国人観光客、再び

過去30年間毎年パリを訪問していたスイス人のベアトリス(Béatrice)さんは「やっと戻ってこれた」とノートルダム寺院の前で笑顔を見せています。

「失われた時を取り戻しに友人たちと来た」というベルギー人のエレーヌ(Hélène)さんもパリのリピーターですが、「歩行者天国が増えたし以前より小ぎれいになった」と満足そうです。

コロナ禍で消えた日常的なパリの風景の一つとして「外国人観光客」があげられるのではないでしょうか?

スペイン人が大量にパリに、コロナ前の14%増

パリ観光局によると、スペイン人観光客だけで2019年対比で14,7%も増えています。

まだコロナ前の水準には達していないものの、アメリカ人やイタリア人の数も順調に回復しています。

3月後半の春休みぐらいから、パリの地下鉄の中で久しく聞こえなかった外国語をよく耳にするようになりました。

 

イースター休暇で大ブレーク

気温が上がり日が長くなった4月、特に17日前後のイースター休暇から、車内でスペイン人やイギリス人のグループ、アメリカ人やドイツ人の家族連れを見かけることは日常茶飯事になり、「この人たち北欧の人かな?どこの国の言葉だろう」と思うことも増えました。

巷ではスーツケースを片手にAirbnb(エアービアーンドビー)のアパートを探して道をウロウロしたり、レストランやカフェにもいかにも「観光客」という感じの人々をよく見かけるようになりました。

イースターの週末にはイギリス人観光客がコロナ前に比べ57%も増え、スペイン人は9%増となっています。

エッフェル塔、ルーブル美術館に行列再び

イースター休暇期間のエッフェル塔における一日の入場者は22,000人で、これは1日の最大受容人数にほぼ匹敵します。

エッフェル塔の運営会社(SETE : Société d’Exploitation de la Tour Eiffel)の社長ジャン=フランソワ・マルタン(Jean-François Martins)氏は、「今年の1月からコロナ前の80%ぐらいの数で推移していた入場者数が、最近の気温上昇と連休で急増している」と雑誌のインタビューに答えています。

フランスホテル業連盟のフランク・デルヴォー(Franck Delvau)会長は、「久しぶりに美術館やエッフェル塔の前に観光客の行列ができていて嬉しい」と目を細めています。

 

ロシア人、アジア人不在も20%増

イースター休暇で観光が急速な回復に向かい、業界では安堵の声が上がっていますが、「正常化」はまだまだ先になりそうです。

ロシアのウクライナ侵攻やそれに伴うロシアへの経済制裁でロシア人の観光客は皆無となりました。

また、コロナ感染拡大が欧米より遅く始まり、海外旅行に依然として消極的なアジア諸国からの観光客は戻っておらず、ゼロコロナ政策の影響で中国人観光客の姿も見られません。海外から帰国後の自主隔離などの条件がいまだに残る日本からの観光客もまだ不在です。

フランス人観光客が牽引

エッフェル塔のマルタン社長は「入場者の4分の1がフランス人で、これはコロナ禍前の2倍」と述べているように、フランス人観光客の大幅な増加が回復の後押しをしています。

 

コロナ禍を機に、「危機に強い」持続可能なツーリズムを

「飛行機より電車で来る人が増え、滞在先も市内のあちこちに分散している」と述べるパリ市観光担当助役フレデリック・オカール(Frédéric Hocquard)氏は、2024年には大型観光バスの駐車スペースを大幅に減らし、その分「自転車の駐輪スペースを増やしていきたい」とパリ市の観光業の今後について語っています。

ウクライナ侵攻でヨーロッパ人やフランス人のローカル嗜好が強まっていることも確かですが、オカール氏は今後も「より近くを訪れ、より長く滞在し、一点集中を避ける」傾向になっていくと見ており、これを機に「危機に強い」持続可能な観光業へ舵をとる意向を表明しています。

その一環として、ホテルがパリの西側に多いことを挙げ、今後「パリ東部への開業を支援していく」と述べています。

喜ばしいパリ観光業の回復ですが、パリ市民にとっては、ガラガラのルーブル美術館も、行列のないエッフェル塔も「残念ながら?」過去の思い出になりそうです。

執筆:マダム・カトウ

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