フランス マクロン第2次政権 首相は誰に?

2022.05.05

フランス 政治5月4日(水)、閣僚会議を終えた政府報道官のガブリエル・アタル(Gabriel Attal)氏は、少なくとも5月13日まで現職のカステックス氏が首相であることを確認しました。13日は、マクロン前政権の最終日です。

 

大統領選挙「第三回」投票?!

先日行われた大統領選挙では、ジャン=リュック・メランション(Jean-Luc Mélenchon)氏が早くも首相に立候補したことが話題になりました。

第1回投票で敗北が明らかになり、4月19日(火)、メランション氏は決選投票の結果を待たずしてBFMTVの会見で「私を首相に選んでほしい」とフランス国民に呼びかけたのです。

第1回投票では、メランション氏がマクロン氏、ル・ペン氏に続いて多くの票を獲得し、さらに決選投票でもマクロン氏の圧勝とならなかったことから、メランション氏は総選挙での勝利による「コアビタシオン(ねじれ政権)cohabitation」を狙っていると見られています。

コアビタシオンは1980〜90年代に頻発しましたが、政権の不安定につながるとして初代シラク政権の終了(2002年)以来、廃止されています。

コアビタシオンの可能性は

フランス憲法では、大統領が内閣首相を任命すること、内閣閣僚は首相の提案により大統領が任命することが明記されています。この条項によれば、マクロン大統領がメランション氏やル・ペン氏を進んで首相に任命する可能性は低いように見えます。

しかし現実的には、マクロン大統領は誰でも首相に任命できるというわけではありません。議会は、下院議員の10分の1以上による署名で行われる不信任動議(motion de censure)によって、大統領に対して政府総辞職を申し出ることができるためです。

なお、過去にこの手続きが実行された大統領はいませんが、その時の大統領と首相の関係によっては政権がゆらぐこともあり得るという懸念は尽きません。

コアビタシオンになったとしても

メランション氏あるいはル・ペン氏が首相に選ばれることになれば、マクロン政権の意向とは関係なく物価制限や、最低賃金の引き上げなどの政策が実行されるだろうとの見方が示されています。

しかしこのような政策の実行には憲法改正、または大統領の任命する憲法院による審査をへた法改正が必要であり、いずれにしても手続きは容易ではありません。

このように、仮にコアビタシオンが復活するとしても、フランス政治における大統領の権力はやはり大きいことがわかります。

 

次期組閣に注目

マクロン氏の再選後から、現職閣僚は次期内閣の編成まで不安をつのらせています。マクロン氏は4月27日のヴァル=ドワーズ県セルジー(Cergy)訪問時、次の閣僚は「社会、環境、生産性の問題に努める」人で、「政治色は問わない」と発言しました。

現職のジャン・カステックス(Jean Castex)氏も右派に属することに言及し、政治的立場に関わらず政策課題に取り組む首相を選ぶ意向を示しました。

4月7日(土)には憲法院院長ロラン・ファビウス(Laurent Fabius)氏による大統領選決戦の正式な結果発表のなかで、マクロン氏が演説をおこなう予定です。ここで次期組閣についての発言があるかどうかが注目されます。

執筆あお

国立国会図書館 調査及び立法考査局 「調査と情報 No.1047 フランスの議会制度

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