2023年4月21日(金)、ブックフェスティバル(festival du Livre)が本日よりパリで開催されています。フランスの本市場は好調で、最近の調査ではフランス人の86%が文学を読んでいると答えています。
2022年新規開店した本屋の数、142件で過去最高
フランス国立書籍センター(Centre National du Livre)の最近の調査で、フランス人の86%が文学書の読者で、うち24%は「大量に読んでいる」と答えています。
この「文学書人気」を裏付けるかのように、2022年フランス全国の書店の新規開店数は142件と過去最高を記録しました。
特記すべきは、これらの本屋の多くが人口15,000人未満の小さな町や村に開店していることです。
文学にもいろいろな種類がありますが、現代小説、歴史小説、ファンタジー、推理小説、そして、ここ数年流行っているフィールグッド・ブックが人気ランキングの上位を占めています。
「前向き」「気分が良くなる」小説人気
フィールグッド・ブック(feel-good book)は、アメリカで使われ始めた用語で、その名の通り「気分を良くする本」(un roman qui fait du bien)のことを指します。
このカテゴリーの小説は、困難に立ち向かっても「人生を楽観」するというビジョンに基づき、登場人物やストーリーが「前向き」で、読者に「勇気」を与えます。
フランス5大人気作家が一同に
仏フィガロ紙(Le Figaro)が行った最近の調査で、2022年に最も売れた小説家の中から(順不同)、ギヨーム・ミュッソ(Guillaume Musso)(仏)、ジョエル・ディケール(Joël Dicker)(スイス)、メリッサ・ダコスタ(Melissa Da Costa)(仏)、ヴィルジニー・グリマルディ(Virginie Grimaldi)(仏)、ピエール・ルメートル(Pierre Lemaître)(仏)の5人が今年のフェスティバルでの討論会に出演し、サイン会を行います。
2022年に売れた本、小説1位は「アラスカ・サンダース」
昨年、フランスで最も売れた上位50冊のみの総販売数は1170万部です。
そのうち、ジュネーブ出身、37歳のスイス人ミステリー作家、ジョエル・ディケールの新作「アラスカ・サンダース」(L’Affaire Alaska Sanders)は43万2000部、72歳で脚本家でもあるゴンクール賞作家のピエール・ルメートルの新作「大きな世界ー黄金時代(課題)」(Grand monde – Les Années glorieuses)は、33万5000部を占めています。
ギヨーム・ダ・エンポーリ(Giuliano Da Empoli)の アカデミーフランセーズ賞(prix de l’Académie française)受賞作品「クレムリンの魔術師(仮題)」(Le Mage du Kremlin) は32万部で、ブリジット・ジロー(Brigitte Giraud)のゴンクール賞(prix littéraires, le Goncourt )受賞作「生き急ぐ(仮題)」(Vivre vite)の19万部を大きく抜いています。
1位は漫画
しかしながら、2022年、フランスで最も売れた本は、エネルギーの専門家ジャン=マルク・ジャコヴィッチ(Jean-Marc Jancovici)とクリストフ・ブラン(Christophe Blain)の共同制作による、地球温暖化を漫画で説明した「終わりなき世界(仮題)」(Le Monde sans fin)で、51万4000部と2位の「アラスカ・サンダース」を大きく引き離しています。
この傾向は今年に始まったことではなく、2021年も漫画は売上のトップ5に入っています。
今年の名誉招待国、イタリア
毎回、「名誉招待国」として海外の小説家がクローズアップされます。今年はイタリアから50人もの作家がパリの会場に集まります。
スポンサーTik Tok、読書好きが感想を動画でシェア
フェスティバルのスポンサー、10代の若者に人気の高い中国発のSNS、Tik Tokは「カルチャー全般、特に文学に力を入れている」とコメントしています。
同社によると、若い文学ファンが読書の感想や本の紹介など、自分たちの「文学への情熱を動画でシェア」しています。
執筆:マダム・カトウ