10月7日(日)朝、パリの人気の観光地であるシャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Elysées)近くのジョルジュ・サンク大通り(Avenue George V)で、車に乗っていた男性2名がオートバイに乗った2人組によって銃撃され、1名が死亡し、もう1名が重体となっています。死亡したのは、7月1日にパリ近郊のスュッド・フランシリアン刑務所(Centre Pénitentiaire Sud Francilien)から、ヘリコプターで脱獄したレドワーヌ・ファイド(Rédoine Faïd)受刑者の元共犯者とみられています。
事件概要
7日午前6時頃、シャンゼリゼ大通にほど近いジョルジュ・サンク大通りで、オートバイに乗った2人組が、車に乗っていた男性2名に対して至近距離から複数回発砲し、その場を逃走しました。車に乗っていた男性の内1名は胸部を撃たれ重体、運転手は頭部、胸部、右腕などを撃たれて意識不明の重体となり、駆け付けた救急隊員によって救急処置が施され、ピティエ・サルペトリエール病院(l’hôpital de la Pitié Salpêtrière)と ぺルシー病院(l’hôpital Percy)へそれぞれ搬送されましたが、その後、運転手の死亡が確認されました。
警察が到着した際、15名ほどの目撃者が「彼らは撃たれた!」と叫んでいて、目撃者たちによると犯人はピエール・プルミエ・ドゥ・セルビ大通り(Avenue Pierre 1er de Serbie)からやってきて、被害者たちを銃撃したのち逃走したということです。
多くの目撃者がいましたが、事件発生当時はまだ夜が明けていなかった為、詳細は分かっておらず、犯人たちは現在も逃走中です。
死亡した被害者は脱獄犯の元共犯者
今回の銃撃による被害者は、運転手のソフィアヌ・アムリ(Sofiane Hamli)氏(42歳)と同乗していたロマン・ランサ―ル(Romain Lansard)氏とみられています。
強盗を繰り返していたアムリ氏
警察の発表によると、死亡した運転手のアムリ氏は、7月1日にパリ近郊のセーヌ=エ=マルヌ(Seine-et-Marne)県のレオ(Réau)市にあるスュッド・フランシリアン刑務所からヘリコプターで脱獄し、世間を騒がせたレドワーヌ・ファイド受刑者の元共犯者で、過去に何度も強盗を繰り返していることで知られていた人物だということです。
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アムリ氏は、1990年台から2000年台にかけて頻発した、武装強盗や装甲車両による強盗事件に関与しているとして警察から疑いをかけられ、2004年に逮捕されています。
2012年にパリ重罪裁判所(la cour d’assises de Paris)によって、2002年5月にパリ郊外のセーヌ=エ=マルヌ(Seine-et-Marne)で起こった装甲車両による強盗に関しては無罪という判断が下されています。
その他にも、2003年3月にパリ南郊のフレンヌ刑務所(la prison de Fresnes/Le centre pénitentiaire de Fresnes)で起こった、強盗犯アントニオ・フェラーラ(Antonio Ferrara)受刑者の脱獄にも関与したとして警察から疑いをかけられていますが、法的には証明されていません。
ファイド受刑者とは共に数十件の武装強盗を行っていたとみられています。
コルシカ島で有罪判決を受けたことがあるランサール氏
コルス・マタン(Corse Matin)紙によると、車に同乗していたランサ―ル氏は、2010年にコルシカ島(Corse)のポルト=ヴェッキオ(Porto-Vecchio)で起きた2つの武装強盗事件に関与したとして4年間の懲役刑を宣告されたと報じています。
ファイド受刑者逮捕とは無関係
先週水曜日(3日)、フランス北部のファイド受刑者の地元であるクレイユ(Creil)で兄弟たちと一緒にいるところを発見され、脱走から3ヵ月ぶりに逮捕されたファイド受刑者ですが、調査筋に近い関係者によると、今回の事件はファイド受刑者の逮捕とは無関係であるとのことです。
捜査官は、「この復讐事件に対して全力で捜査しなければならない。事件現場付近には多数の監視カメラが設置されていて、既に麻薬取引と詐欺容疑で手がかりをつかんでいる」と述べました。
今回の銃撃事件は、一般人を対象にした無差別テロ行為ではないとみられていますが、念のため最新の情報を入手し、身の安全の確保に充分務めるようにしてください。
執筆:Daisuke