フランスの深刻な眼科医不足、国が対策を提案

2018.10.05

フランス医療

10月5日(金)、会計監査院(La Cour des comptes)は昨日発表したフランス社会保障関連レポートで、現在深刻化している眼科医不足解消のため、医療補助職員や一部のメガネ屋など、眼科医以外にもメガネやコンタクトレンズの処方を認可することを提案しています。

 

2010年までに眼科医の数が20%減

フランス国内の多くの地域では、「眼科医の予約待ち期間が年々長くなっており、特に初診の場合、緊急性を要する症状でも受け付けてもらえないこともある」、とフランス保険局のレポートを吟味した会計監査院は指摘しています。さらに、このまま何の対策もとらなければ、「眼科医療を受けることがいよいよ困難になる」、と警鐘を鳴らしています。

レポートは、「フランス政府も2000年の中ごろから対策を講じている」とするものの、「眼科医療はすべて眼科医のみが行うことが前提になっている」ため、その数が限られていれば抜本的な解決にはならないことを問題視しています。

 

視力検査やメガネなどの処方を分業に

会計監査院は、フランスに4643人(2017年時点)いる両眼矯正士に簡単な診療やメガネ、コンタクトレンズなどの処方を許可することを提案しています。両眼矯正士は、現在眼科医の元で就業する医療補助部門の職員ですが、今回の提案が通れば独立して診療したり、自らも診療所を持つことができるようになります。

但し、現在両眼矯正士になるにはbac+3(高校卒業資格+3年)と呼ばれる学士過程の資格があれば十分ですが、独立して診療する条件として、bac+5(高校卒業資格+5年)と呼ばれる修士号の資格が必要になります。

メガネ屋さんでも処方箋?

これと同じ資格を持っていることを前提に、現在フランスに35000人(2017年時点)いるメガネ商にも門戸を開くことも検討されています。(ちなみにメガネ商は高校卒業資格後2年就学する、BTSと呼ばれる上級技術者免状の取得が必要です。)

現在、メガネ商には眼科医の処方箋の内容を患者の年齢に合わせて修正することと、処方箋の延長をすることのみが許されています。提案によると、自らメガネやコンタクトレンズの処方をすることが可能となります。

但しメガネ商の場合は、利害抵触を避けるため、患者は自分の処方箋を書いてもらったメガネ屋ではメガネを作ることができず、他の店で作ることになります。

 

眼科医は専門医療に専念

当然、両眼矯正士やメガネ商の診療でより専門性の高い診療が必要と判断された場合は、患者を眼科医に回す義務などの規定が必要となりますが、今回の分業提案が実現すれば、眼科医は眼病治療や外科手術に専念できることになります。

執筆:マダム・カトウ

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