10月4日(木)、フランスへの2018年の観光客数の予測が発表されました。それによると、今年は9千万人を突破し過去最高記録を更新するそうです。
9千万人突破予想、目標は2022年までに1億人
外務省の観光担当国務長官、 ジャン=バティスト・ルモワンヌ(Jean-Baptiste Lemoyne)氏は、「今年の観光客数は昨年の8千7百万人の過去最高記録を更新する。9千万人を突破して観光大国世界一の座を維持するだろう」と、今年の好成績と同時に、2022年までに目標の1億人に一歩近づいていることを評価しました。
観光収入600億ユーロ目標
ルモワンヌ氏によると、今年フランスを訪れた観光客1人あたりが落としたお金は10,7%増で推移しています。
2017年の観光収入の合計は540億ユーロ(約7兆円)でしたが、こちらも「すでに2017年に突破したスペインについで、2020年には600億ユーロ(約7兆8990億円)を突破したい」と語っています。
この夏、外国人観光客はフランスへ、フランス人は海外へ
7月、8月の夏休み期間、海外からの外国人観光客の宿泊数が5.3%も増加、特に今年の傾向として、国籍別ではイギリス人についでイタリア人(+14,9%)、スペイン人(+13,9%)と大きな伸びを示し、さらにヨーロッパ人についでアメリカ人、アジア人の観光客が増えています。
フランスを訪れた観光客の人気の観光地域は、パリとイル=ド=フランス地域圏(Ile-de-France)、南仏プロヴァンス・コートダジュール(Provence-Alpes-Côte d’Azur)、ボルドー(Bordeaux)、モンブラン(Mont Blanc)、ロワール地方(Loire-Atlantique)やノルマンディー地方(Normandie)で、特にパリとイル=ド=フランスは、今年の夏13,4%も観光客が増えています。
フランス人の国内旅行は1.2%減、海外旅行にシフト
外国人の観光客が増える一方で、フランス人観光客の夏休みの需要が多い地方や海岸沿いの観光地では前年割れをしています。その分が海外旅行にシフトしたようです。
チュニジア、クロアチア、ギリシャが人気
フランス旅行業協会(Syndicat des Entreprises du Tour Operating)の発表によると、フランスの旅行会社の海外旅行の集客数が前年対比10%増、約200万人増えています。その理由として、チュニジアなど北アフリカのリゾートの治安が改善されたため人気が復活し、クロアチア、ギリシャなどフランスより現地の物価が安い国に観光客が流れたことが挙げられます。
旅行コンサルタントのディディエ・アリノ氏(Didier Arino)によると、「観光客の傾向にはサイクルがあり、2009年からの不況など(アラブの春、テロ)でフランス人は散々国内旅行をしてきた」為、そろそろフランス国外の行き先に関心が高まっているようです。
さらに、「今年の年初の悪天候、そしてフランス国鉄(SNCF)やエールフランスのストライキにより、ローコスト航空などのへの関心が高まった事などのさまざまな要素によるもの」と氏は説明しています。
フランス行きは年末の予約も好調、日本人観光客25%増
今年のフランスへの年末の予約は出だし好調で、すでに航空会社の予約は前年対比4,9%増で推移しています。特にアメリカからは前年対比15%、日本からは25%とそれぞれ増加しています。
増加の影に、地域による格差
観光客の全体数が伸びる一方で、地域による格差が問題になっています。今年の大きな増加の恩恵を受けたのは、外国人観光客に人気の行き先ばかりで、これは全体の10%程度に過ぎず、後の90%は伸び悩みか減少傾向にあります。
フランス観光開発機構(Atout France) は地方自治体と連携して5億ユーロの基金を設立して宿泊施設のグレードアップを推進し、地方の観光活性化を図っています。
執筆:マダム・カトウ