日本では140年ぶりに成人の定義が変わりました。成人式の参加や10年間有効のパスポートを申請できるなど、18歳でできることがだいぶ増えた印象があります。フランスでも18歳からは成年として認められます。若者たちは成人をどのように迎えるのでしょうか?今回は、フランスでの成人に対する考えや、18歳になったらできることなどレポートします。
フランスの若者たちの決まり文句はこれ!
まず、成人はフランス語で majeur ( マジゥーr ) といいます。未成年の若者たちが呟く定番文句があるので紹介します。
“Je fais ce que je veux.”
自分のしたいことをする
“18 ans j’ai tous les droits.”
18歳になったらすべての権利が持てる
希望をもった言葉に聞こえますね。18歳になるまでは未成年として、親の管理下に置かれている状況。日常会話でも、よく思春期の子供に「まだ未成年なんだからそれはだめ」という諭し方を耳にします。
フランスの若者にとって18歳になるということは、一人の大人として責任を持って社会に参加できることを意味しています。先に挙げた2つの決まり文句も、この理念に基づいての発言なのです。
成年になって、晴れて堂々と社会に向けて意見を述べることができる。そこにフランスの若者は希望を持っているように感じます。
日本とはこんなに違う!フランスの成人式
フランスには日本で行うような、市町村が取り仕切る”成人式”という合同セレモニーはありません。ですが、お祝いは各自で行います。家族や親戚を招いて行う、大掛かりな誕生日パーティが代表的なものです。
そしてもう一つ、親抜きのパーティーがあります。自宅に親しい友人を招いてお祝いをすることが多いです。フランスでも小さい頃から誕生日パーティーをする習慣がありますが、18歳のパーティーは夜に行われます。これも大人になった印なのでしょう。
参加者はドレスやスーツなど晴れの日にふさわしい装いで集い、皆で飲んで食べて踊り明かし、翌朝にお開きになります。
この日、家族は自宅にいることができません。親戚の家やホテルに泊まるなど、それぞれの方法で子供に家を開放します。
自宅で行わない場合はレストランや貸しホールを予約して行いますが、家族は同伴しないことがほとんどです。
この慣習を聞いたときはびっくりしました。しかし大人としてのふるまいを経験させるチャンスとして、フランスでは受け入れている家庭が多いようです。
フランスで18歳になったらできること
18歳になったらできることの中から、代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
・選挙に参加できる
・車の運転を一人でできる
・アパートや携帯の契約
実際、アパートの契約などは保証人が必要なので一人でできるわけではありませんが、多くの場合、本人の権限で選択できるようになります。
車の運転については16歳から免許が取得できますが、18歳未満の場合は運転免許を持っている人が同伴していればできるという、仮免に近い状態です。18歳からは堂々と一人で運転が可能になります。しかし、車での事故を起こした時など、何かあった場合は本人が責任をとらなければいけません。
フランスでは、日本同様に18歳未満の場合は保護者の同意書を求められることがほとんどです。でも、成人になれば若者に人気のタトゥーなども自己責任で選択でき、親も子供の権利を尊重します。
18歳は自立の一歩
多くのフランス人家庭では、子供が成人した場合、サポートはしつつも本人の意思を第一として尊重する姿勢が見られます。
その切り替えは決して曖昧なものではなく、多くの子供たちが高校を卒業する18歳になると一人暮らしを始めて、自分の人生を切り拓いていきます。
そんな子供たちの姿を心配というより、”頼もしくなった”という視点でとらえている家庭が多いようです。
まとめ
フランスでは、早く大人になって社会と関わりたいと思っている若者を多く見かけます。責任を伴うとしても、彼らは自分の意見を主張したり、自由な選択ができることを大切に思っているようです。「大人になるって悪くないな」と思える社会が、フランスにはあるのかもしれません。
執筆YUKO