モミの木の香りで気分満点!フランスのクリスマスツリー事情あれこれ

2021.12.13

パリ フランス クリスマス12月に入るとフランスはクリスマス一色になります。街なかではイルミネーションが始まり、広告もクリスマス商戦に向けて一気に華やかになります。そして忘れてはいけないのがクリスマスツリー Sapin de Noël です。今回はフランスのクリスマスツリー事情に関してご紹介します。

 

クリスマスツリーの起源と歴史

キリストの生誕祭であるクリスマスに飾るものとして、キリスト教のシンボルのようにも捉えられるクリスマスツリー。ですがもともとはキリスト教とは無関係で、古代ゲルマン民族が冬至の祭に常緑樹である樫の木を飾っていたのが起源だと言われています。

この風習が15世紀のドイツでキリスト教の生誕祭に融合して、いわゆる「クリスマスツリー」が誕生したとされています。

フランスでの歴史は

この新しい慣習がフランスに伝わるまではあまり時間はかからなかったようで、1521年のアルザス地方の記録にすでにクリスマスツリーのことが書かれています。

フランス王室にクリスマスツリーの習慣を持ち込んだのはルイ15世に嫁いだポーランド王室のマリー・レクザンスカ(Marie Leckzinska)とされており、1738年にベルサイユ宮殿で初めてクリスマスツリーが飾られたという記録があります。

一般にも広がったのは1920年代と言われており、街なかや各家庭で飾られるようになったのはせいぜいここ100年程度のことのようです

 

本物のモミの木を使うのが一般的

最近は日本でも生木のクリスマスツリーは珍しくなくなってきていますが、フランスではオフィスやレストラン、家庭でも毎年生木のツリーを買って飾りつけをすることが一般的です。

もちろんプラスチック製もたくさん売られていますが、モミの木独特の香りもクリスマス気分を盛り立ててくれるとして、生木にこだわるフランス人が私の周りには多いです。

実際に、2019年のフランス全土でのツリー販売本数は、プラスチック製の110万本に対し生木のものはその5倍以上の580万本だったというデータがあります。

フランスのクリスマスツリー売場

12月に入ると花屋さんやスーパー、市場などにツリー販売の特設コーナーができます(画像左)。50センチくらいの小さいものだと15ユーロほど。大きなものだと2メートルを超え、100ユーロ以上の価格で売られています。購入すると、持ち帰りやすいように右の画像のような器具を使ってネットにくるんでもらえます。

早く買いすぎるとクリスマスまでに枯れてしまうので、買うタイミングも考える必要がありますが、12月も10日を過ぎると目に見えてお店の在庫が減っていきます。逆に1月に入ると、今度は枯れて茶色くなったツリーを回収するスポットが街なかに現れます。

 

パリで有名なクリスマスツリーといえば

ギャラリー・ラファイエットとサマリテーヌのクリスマスツリー左:ギャラリーラファイエット本店のクリスマスツリー 右:サマリテーヌ百貨店の控え目なクリスマスの飾り付け

世界的に有名なツリーといえばニューヨークのロックフェラー・センターやロンドンのコヴェント・ガーデンなどがありますが、パリで最も有名なのはギャラリー・ラファイエット本店の4フロア吹き抜けのドームにつるされるツリーでしょう(画像左)。

ギャラリー・ラファイエットとプランタンという大きな百貨店の本店が並ぶオペラ座の北の区画は、パリ随一のイルミネーションやショーウィンドウの飾り付けが見られるエリアで、その中でも毎年話題になるのがこのきらびやかなツリーです。

ここ数年間は天井から逆さまに吊られる「逆さツリー」が定着しつつあったのですが、今年は上向きに戻っていました。派手で巨大なツリーは、パリの商業主義の象徴ともいえるギャラリー・ラファイエットのイメージと合うもので、なんとも言えないパワーを感じます。また内装がアールヌーボー様式であるため、派手であってもそこまで浮いて見えません。

控えめなツリーも

一方、今年6月に16年ぶりにリニューアル・オープンしたサマリテーヌ百貨店には、単色の控え目なツリーがおかれていました(画像右)。ボン・マルシェとともにパリで最も高級路線を打ち出すサマリテーヌ百貨店は、店内の装飾も上品にまとめている印象です。クリスマスツリーひとつ取ってもそれぞれのお店の目指す方向性が見えて、興味深いものがあります。

クリスマスツリーが置けない??

Sénat(上院議会)の前に置かれたクリスマスツリー

クリスマスツリーは公共機関やオフィスにも置かれますが、政教分離の観点から政府機関などには置くべきではないという意見も年々高まっています。

一方で、日本の正月の門松のように、クリスマスツリーは文化として定着しており、また街の景観を盛り上げるものとしてもいいのではという見解も根強いです。今後の展開を見ていく必要はあるでしょう。

クリスマスツリーで心豊かに

寒く暗いヨーロッパの冬。昔のゲルマン民族が冬でも青々と葉を茂らせる常緑樹に生命力を感じ、暗い冬至の日にツリーを飾りたくなった気持ちも分かります。

商業イベントの性格が年々増すクリスマスですが、青いモミの木ときれいな飾り付けには、心を豊かにしてもらえるような気がします。

執筆 Takashi

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