1月10日(火)、今月1日よりフランスでは、ファストフード店を含むレストランの店内飲食における使い捨て容器の使用が禁止されました。ファストフード最大手のマクドナルドでも1日より再利用可能なコップや皿、フライドポテト容器の使用を開始していますが、わずか数日の間に数千個もの容器が利用客に持ち帰られるという思わぬ問題に直面しています。
未返却の容器、開始数日で数千個
フランスマクドナルドでは、1月1日から始まった店内飲食のリユース容器使用からわずか数日で数千の容器が「盗難」被害にあっています。
未返却となった容器の数について、マクドナルド社側はメディアへのコメントを避け、正式な数字を公表していませんが、同社に容器を製造販売したピクソ社(Pyxo)の創設者で社長のバンジャマン・ペリ(Benjamin Peri)氏は、「未返却数があることは事実ですが、その割合は今のところ大したものではありません」と述べています。
ただ、リユース容器の使用はまだ始まったばかりで、この予測していなかった「現象」による被害を割り出すのは時期尚早として、今後注視していくことを明らかにしました。
「使い捨て容器禁止」法令、知らない人がほとんど
新年早々施行された「使い捨て容器禁止」という新しい法令は、フランス国内でもほとんど知られていません。
そのためマクドナルド社およびピクソ社は政府に対し、ファストフード店の店内飲食容器は通常のレストラン同様持ち帰りができないことを告知するキャンペーン等の支援を求めています。
マクドナルド1日200万食分の「使い捨て」を削減
フランスで一日200万食を販売するマクドナルド、これまで使用していた使い捨て容器の膨大なゴミの量を考えると、今回の取り組みは大きな進歩と言えますが、多くが紙容器だったものをプラスチック製のリユース容器に変更しているため、この新しい容器が使い捨てされると本末転倒になってしまいます。
長年ファストフード店で受け取った容器は、使い捨て、または店内での食べ残しの持ち帰りなどは自由でしたが、時間がかかるとはいえ、今後利用者が「新しい習慣を身につけることが重要」だとピクソ社のペリ社長は述べています。
世界初の容器返却、「不注意か故意か」観光地の店舗で多発、10代の若者
容器の「未返却」が多発しているのは、外国人観光客の多い観光地などにあるマクドナルドの店舗が中心になっているようですが、それもそのはず、世界中でリユース容器を使用し始めたのはフランスのマックが初めて。
多くの人が今まで通り、注文後に受け取ったものは容器ごと「買った」ものだと勘違いしたり、不注意で持ち帰ったりする人もおり、故意に盗んだかどうか区別するのは困難です。
リユース容器のうち、お皿、カップは陶器製、紙コップはプラスチックグラス、フライドポテトの赤い箱は赤いプラスチックの容器に変更されています。
容器の行き先、「GPSで突き止める」は本当か?
店内のスタッフも容器の「持ち帰り」まで目を配ることは不可能です。
容器の盗難が多発しているあるマクドナルドの店舗では、「当店の容器にはGPSがついています。容器を持ち帰ることはできません。もしそうした場合警察に店外に持ち出した理由を説明していただくことになります」といった貼り紙をしていますが、容器を製造したピクソ社によると「容器に埋め込まれているマイクロチップは在庫管理用に作られているだけなので」、容器の行き先を突き止めることはできないようです。
フライドポテトの容器が「かわいい」
容器の盗難がメディアで騒がれ始め、一体なぜ持ち帰るのか?を調べるためテレビ局が街頭インタビューを行うと、「僕はしないけど、誰も見ていないから持って帰るのは簡単だよね」とある若者は答えています。
また「私は家に持ち帰るなんて興味ないけど、盗られても驚かないわ」と答えた女性は、なぜかと聞かれ「容器がかわいいからじゃない?」と答えています。
外国人観光客も「綺麗だから家でも使えそう。僕はもちろん盗らないし、お勧めしないけど」と答えています。
執筆:マダム・カトウ